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出力制御(出力抑制)とは、電力の供給が需要を上回りそうな時に、電力会社が太陽光発電設備の発電を一時的に停止・抑制する仕組みです。ニュースで「出力制御」という言葉を見て、自分の売電が止められるのではと不安に思う方向けに、対象範囲を公式情報で確認します。
出力制御・出力抑制の用語整理と制度の基本
「出力制御」と「出力抑制」は同じ行為を指す言葉です。再エネ特措法施行規則上の正式な名称は「出力の抑制」で、資源エネルギー庁の指針ではこれを「出力制御」と呼んでいます。本記事でも同じ意味で使います。
出力制御が必要になる理由は大きく2つに分かれます。電力の需要より発電量が多くなる「需給バランス」による場合と、送電線の容量や電力系統の安定性の制約による場合です。
発電設備側は、出力制御の指令をどう受けるかで3つに分かれます。自ら手動で発電を止める「オフライン(手動)制御事業者」、自身では制御を行わずオンライン制御事業者に代わりに止めてもらう「オフライン(代理)制御事業者」、自身の制御と代理制御の両方を担う「オンライン制御事業者」です。次の章で説明する「経済的出力制御(オンライン代理制御)」は、オフライン(代理)制御事業者の分をオンライン制御事業者が代わりに実施し、実施した側が通常の買取価格で対価を受け取れる仕組みを指します。
出力制御が必要な場面でも、抑制する電源には優先順位があります。まず火力発電の出力を抑制し、揚水発電のくみ上げ運転による需要創出、地域間連系線を使った他エリアへの送電を行います。それでも発電量が需要を上回る場合に、バイオマス発電の後、太陽光発電・風力発電の順で出力制御を行います(水力・原子力・地熱は「長期固定電源」として抑制の対象外です)。
出典:資源エネルギー庁「出力制御について」、資源エネルギー庁「出力制御の公平性の確保に係る指針」
経済的出力制御(オンライン代理制御)の対象範囲
電力会社が遠隔で発電を止める「経済的出力制御(オンライン代理制御)」は、FIT認定を受けた10kW以上の太陽光発電設備が対象です。10kW未満の住宅用太陽光発電は、原則としてこの制度の対象外です。
| 設備規模 | 対象 |
|---|---|
| 10kW以上(FIT認定) | 対象 |
| 10kW未満(住宅用の多くが該当) | 原則対象外(複数の太陽光発電設備を設置する事業の場合は例外あり) |
出典:北海道電力ネットワーク「経済的出力制御(オンライン代理制御)について」、関西電力送配電「経済的出力制御(オンライン代理制御)について」
制度拡大の経緯
出力制御の対象は年々広がってきました。2021年4月以降、東京・中部・関西エリアを含む全エリアで、対象設備への無制限・無補償の出力制御ルールが適用されています。2022年4月からは、それまで対象外だった10kW以上500kW未満の太陽光発電設備も出力制御の対象に加わりました。
この拡大の経緯は、いずれも10kW以上の事業用・FIT認定設備を対象にしたものであり、10kW未満の住宅用太陽光発電が新たに対象へ加わったことを示す公式発表は確認できていません。
卒FIT世帯への実務的な影響
本記事の確認時点で、10kW未満の住宅用太陽光発電は経済的出力制御の対象外のため、卒FIT後の売電収入がこの制度によって直接減ることは想定しにくい状況です。ただし制度は見直される可能性があり、将来にわたって対象外であり続けることを保証するものではありません。3つの選択肢を同じ条件で比較する考え方は別記事で解説しています。
住宅用太陽光発電(10kW未満)が「余剰買取」のみを対象とする制度設計については、余剰買取と全量買取の違いで確認できます。
経済的出力制御とは別に、パワコンが周辺の電圧を適正な範囲に保つため発電出力を一時的に抑える機能もあります。仕組みと相談先はパワコンの電圧上昇抑制で整理しています。
卒FIT後の年間の売電収入・電気代削減額は、出力制御ではなく買取単価と自家消費量で決まります。当サイトの卒FIT後の比較シミュレーターで、現在の条件をもとに試算できます。買取単価の一覧は別記事をご覧ください。
「逆潮流」は、太陽光でつくった電気が家から電力会社の送電線へ流れることです。売電の前提になる言葉で、詳しくは「逆潮流とは?太陽光・蓄電池の売電との関係」で説明しています。
よくある質問
Qうちの太陽光(10kW未満)も発電を止められることがありますか?
A電力会社の経済的出力制御(オンライン代理制御)は、FIT認定を受けた10kW以上の設備が対象で、10kW未満の住宅用太陽光は原則として対象外です(複数の太陽光発電設備を設置する事業を行う場合は例外があります)。
Q出力制御は補償されますか?
A対象設備の出力制御は、無制限・無補償で行われるルールが適用されています。ただし前述のとおり10kW未満の住宅用は原則この制度の対象外です。
Q今後、住宅用も対象になる可能性はありますか?
A本記事の確認時点で、住宅用(10kW未満)を対象に含める公式発表は確認できていません。制度は今後見直される可能性があるため、資源エネルギー庁・契約中の電力会社の発表を継続してご確認ください。
本記事は一般的な情報提供です。出力制御の制度・対象範囲は今後見直される可能性があるため、契約中の電力会社・資源エネルギー庁の公式発表を優先して確認してください。個別の投資・税務助言、電気工事の設計・実施は行いません。