3つの選択肢は、同じ年間発電量と電気使用量で比較します。売電継続と買取プラン変更では買取単価を変え、蓄電池では売電する電力の一部を家庭で使う条件に変えて計算します。
蓄電池には初期費用があります。そのため、売電収入と電気代削減額の合計だけでなく、現在のまま売電する場合との差額と、工事費込み見積額の単純回収年数も表示します。
卒FITの制度そのものは卒FITとは?買取期間満了後に確認することで解説しています。ここでの「売電継続」は契約の手続きを行ったうえでの選択肢で、手続きをしないまま何もしなかった場合にどうなるかは卒FIT後に何もしないとどうなる?で別途整理しています。
蓄電池を検討する動機は「卒FIT対策」だけではありません。既設太陽光ユーザーへの調査(2022〜2025年の見積もり依頼データ23,596件)では、「節電目的(自家消費)」を挙げた割合が51.9%(2022年比+12.6pt)に対し、「卒FIT対策」は57.7%(同▲12.0pt)で、電気代そのものを下げたい動機が伸びています。電気代の実質単価を確認し、卒FITの有無にかかわらず自家消費のメリットを試算に含めて比較することをおすすめします。
出典:グッドフェローズ「既設太陽光ユーザーの過半数が"節電目的"で蓄電池を検討」(タイナビ蓄電池調べ)
比較前にそろえる5つの入力
精度を上げる順番は、実績発電量、使用量、実契約の単価、蓄電池容量、工事費込み見積額です。パネル容量から発電量を概算する場合は、方位、傾斜、影、積雪、設備劣化を再現できないため幅を持って読みます。
- 01
年間発電量
モニターや売電明細の直近1年を優先します。不明な場合だけパネル容量から概算します。
- 02
年間電気使用量
請求書や会員ページで12か月分を合計します。発電量と同じ期間にそろえます。
- 03
現在の売電単価と買電単価
買電単価は基本料金を除き、燃料費調整や賦課金をどこまで含めたかをそろえます。
- 04
蓄電池容量
公称容量の全量を毎日使えるとは限りません。放電深度と効率を反映します。
- 05
工事費込み見積額
機器本体だけでなく、基礎・据付・電気・付帯工事を含む総額を使います。
3つの選択肢の年間金額をどう計算するか
蓄電池がない状態でも、発電した電気の一部は昼間に家庭で使われ、残りが余剰として売電されます。当サイトの標準値は、国の委員会資料で住宅用の想定値として示された自家消費率30%です。
現在のまま売電=発電直後に家庭で使う電力量 × 買電単価 + 売電量 × 現在の買取単価
蓄電池を設置=(発電直後に家庭で使う電力量 + 蓄電池から供給する電力量)× 買電単価 + 蓄電後の売電量 × 現在の買取単価
買取プランを変更=発電直後に家庭で使う電力量 × 買電単価 + 売電量 × 変更後の買取単価
表示する年間金額は、売電収入と、発電した電気を家庭で使うことで買わずに済む電気代の合計です。売電収入だけを比較した金額とは一致しません。
蓄電池の単純回収年数は別に見る
蓄電池の回収年数は、工事費込み見積額を、蓄電池を付けた場合と売電継続との差額で割ります。国の調査モデルを参考に、充放電効率90%、放電深度80%、1日1回までを標準前提にしています。太陽光パネル本体の投資回収年数(金銭・エネルギー・CO2の3つのペイバック)は太陽光の投資回収年数とCO2は何年?で別に確認できます。
出典:資源エネルギー庁調査「家庭用蓄電システムのストレージパリティ」
この単純回収には、容量劣化、保守費、交換費、ローン金利、補助金、将来の電気料金・売電単価の変化を含みません。試算年数が長いほど、これらを無視した影響が大きくなります(蓄電池の参考使用期間・劣化の考え方)。
蓄電池の補助金は補助金の現状、電力が余った時に発電を止める「出力制御」が売電に影響するかは出力制御の影響で確認できます。既にエコキュートをお使いの場合は、蓄電池を新たに導入しなくても昼間沸き上げ機能で自家消費率を上げられる場合があります。
初期値を自宅の実績に置き換える
結果を一度出したら、発電量、買電単価、見積額の順に実績へ置き換えます。さらに厳しく見るなら、発電量を少なく、工事費を高く置いたケースも再計算します。一つの結果だけでなく、条件を動かして結論が変わる境目を見ることが重要です。
買取プランは単価以外に、対象地域、セット契約、適用期間、振込頻度、解約条件を確認します。高い単価が期間限定だったり、電気の購入契約とセットだったりする場合は、家計全体で比較してください。契約を急がされた場合の対応は訪問販売トラブルとクーリング・オフで確認できます。
大手電力会社の基本買取単価は地域別の一覧で比較できます。自分の契約が余剰買取・全量買取のどちらだったかも、比較の前提として確認しておくと安心です。
比較シミュレーターを開くと、地域別の初期値を自宅の発電量や契約単価へ変更できます。卒FITくらべのトップページからも同じ試算にアクセスできます。
よくある質問
Q表示された年間金額が一番高い選択肢を選べばよいですか?
A表示額だけでは決められません。蓄電池には導入費があり、停電対策など金額以外の目的もあります。年間の売電・節約額、導入費、契約条件を分けて確認します。
Q蓄電池の回収年数は何年なら得ですか?
A一律の基準はありません。試算年数が保証期間や想定使用期間を超えていないか、劣化・保守費・金利を含めるとどう変わるかを見積条件ごとに確認します。
Q標準値だけでも比較できますか?
A概算の出発点にはなりますが、発電量、売電量、生活時間、契約単価で結果は変わります。実績が分かる項目から上書きしてください。
比較結果の扱い方
試算は、契約書と見積書で確認すべき項目を絞るために使います。表示額が近い場合は、停電対策(自立運転機能を確認)、保証、工事範囲、手続き負担など金額以外の条件も比較します。
設備を自己所有せずに導入する場合は、初期費用0円ソーラーのPPA・リース比較も契約終了後まで含めて確認してください。
蓄電池を導入した後は、自家消費・売電の調整だけでなく、VPP・アグリゲーターに登録して調整力収入を得る仕組みを確認する選択肢もあります。導入費とあわせて、固定資産税(償却資産)の課税対象になるかは固定資産税の課税区分で確認できます。
本記事とツールは一般的な概算です。実際の契約条件・工事費は各社の見積もりが優先します。特定の施工業者・製品を推奨せず、電気工事の設計・実施、個別の投資・税務助言は行いません。