卒FITは、FIT制度にもとづく固定価格での買取期間が満了した状態を指します。住宅用太陽光発電では、2009年に始まった余剰電力買取制度(全量買取との違い)の対象設備が2019年11月から順次満了を迎えています。

満了するのは固定価格で買い取る期間です。設備が発電を止めるわけではなく、発電した電気を家庭で使うか、余剰分を自由契約で売るかを改めて考える段階に入ります。

出典:資源エネルギー庁「エネルギー白書2024」買取期間満了後の選択肢

まず、満了時期と現在の契約を確認する

最初に見るのは、売電先から届く買取期間満了の案内です。満了日、満了後の単価、自動移行の有無、申込みが必要かどうかを確認します。

資源エネルギー庁は、具体的な満了時期の確認には契約書・案内書・検針票などに記載された買取開始時期を見るよう案内しています。認定日ではなく、まずその開始年月を確認してください。開始月から10年間で満了月の目安は出せますが、日付までの確定には売電先の通知を使います。

この表示は開始月から10年間で求める月単位の目安です。正確な満了日は、契約書・案内書・検針票や売電先からの通知で確認してください。

出典:資源エネルギー庁「よくあるご質問|自分の買取満了時期を知りたい」

手続きは事業者ごとに異なるため、他社の記事だけで判断せず、契約中の事業者から届いた通知と公式ページを照合してください。案内を確認しないまま放置した場合にどうなるかは卒FIT後に何もしないとどうなる?で確認できます。継続する場合と切り替える場合で手続きが異なる点は買取先を変更する手続きで確認できます。

検針票や会員ページでは、直近1年の発電量・売電量・買電量も控えます。この3つが分かると、買取単価の差だけでなく、自家消費へ回せる余剰がどれくらいあるかを見やすくなります(電気代の実質単価の求め方も参考にしてください)。この控えは売電収入の確定申告を検討する際の資料にもなります。

設備容量(kW)と発電量(kWh)を混同しやすい場合はkWとkWhの違いで読み分け方を確認してください。

買取期間満了後の主な3つの選択肢

比較するときは、どの選択肢でも同じ年間発電量と使用量を使います。条件を揃えないと、単価が高いプランと蓄電池の効果を正しく比べられません。

卒FIT後の主な選択肢
選択肢確認する数字見落としやすい条件
現在の売電先を継続満了後の買取単価、年間売電量自動移行か、申込みが必要か
蓄電池で自家消費を拡大買電単価、移せる余剰量、工事費込み見積額効率、劣化、保証、停電対策の優先度
別の買取先へ変更新旧の買取単価、年間売電量対象地域、セット契約、適用期間、支払方法

資源エネルギー庁は、買取期間満了後の選択肢として、自家消費と自由契約による売電を案内しています。蓄電池や電気自動車は自家消費を増やす手段ですが、導入が義務になるものではありません(個人住宅が対象になる新制度は今のところありません)。導入時に使える補助金は蓄電池が国の補助金の現状、EV充電用コンセントが国の補助金で確認できます。

工事なしで自家消費を増やす方法として、エコキュートの昼間沸き上げ機能もあります。

出典:資源エネルギー庁「自家消費・相対・自由契約」

買取単価の差を年間売電量で計算する

買取単価の差による年間差額は、余剰売電量に単価差を掛けて考えます。たとえば単価だけが上がっても、セット契約の電気料金や月額費用が増えれば、家計全体の差は小さくなることがあります。

大手電力10社の基本買取プランでは、最も高い東北電力の9円/kWhと、最も低い中部・四国・九州電力の7円/kWhで、1kWhあたり2円の差があります(地域別の一覧)。自家消費率30%を前提にすると、年間発電量5200kWhの家庭では、売電に回る量は年間約3640kWhです。

単価差2円/kWhを掛けると、年間の差額はおよそ7,280円になります。実際の発電量・自家消費率は世帯ごとに異なるため、この金額は目安であり、自宅の数値は比較シミュレーターで確認してください。

出典:経済産業省・調達価格等算定委員会資料|住宅の自家消費率

蓄電池は、余剰電力をすべて家庭で使えるとは限りません。容量、充放電効率、夜間の使用量が上限になります。電気代の削減額が増えても、導入費を回収できるとは限らないため、回収年数も確認します。

大手電力会社の基本買取単価は地域別の一覧で確認できます。当サイトの卒FIT後の比較シミュレーターでは、この3つを同じ発電量と使用量で計算し、蓄電池の単純回収年数も表示します。環境面の回収年数との違いは3つのペイバックの整理で確認できます。

計算の考え方は3択を同じ条件で比較する方法で詳しく解説しています。卒FITくらべのトップページから、この3択の全体像を確認することもできます。

設備付き住宅を売却する場合は旧補助金の返還義務の主体も確認してください。

よくある質問

Q卒FITになると売電できなくなりますか?

Aいいえ。FITによる固定価格での買取は満了しますが、電力会社等との自由契約で余剰電力を売る選択肢があります。契約先と単価は自分で確認する必要があります。

Q卒FITになったら蓄電池が必須ですか?

A必須ではありません。売電継続、自家消費の拡大、買取先の変更などを選べます。蓄電池は導入費と自宅で移せる余剰電力量を確認して判断します。

Q卒FITの満了時期はどう確認しますか?

A契約書・案内書・検針票にある買取開始時期を確認します。開始月から10年間は目安で、正確な満了日は売電先からの通知を確認してください。

Q何の数字を用意すると比較しやすいですか?

A直近1年の発電量、売電量、買電量、現在の売電単価、電気料金の実質的な1kWh単価があると、標準値だけの試算より自宅の条件に近づきます。

次にすること

通知と直近1年の実績を手元に置き、3つの選択肢を同じ発電量と使用量で比較してください。蓄電池の見積もりを取る場合は、製品価格だけでなく、基礎・据付・電気・付帯工事の範囲、保証、既設パワーコンディショナーとの関係を見積書で確認します(パワーコンディショナの交換時期も参考にしてください)。契約を急がされた場合の対応は訪問販売トラブルとクーリング・オフで確認できます。

設備を引っ越し先へ動かす場合は太陽光設備の移設、初期費用を抑えて新設する選択肢は初期費用0円ソーラーで確認できます。蓄電池を新たに導入する場合、固定資産税(償却資産)の課税対象になるかは固定資産税の課税区分で確認できます。

設備更新時に別の屋根面を使う場合は、屋根の面積・重量・補強方位・角度の影響も確認してください。

本記事は一般的な情報提供です。実際の契約条件・工事費は各社の見積もりと契約書が優先します。電気工事の設計・実施、特定事業者の推奨、個別の投資・税務助言は行いません。