目次
影の影響は、影の濃さ・位置・時間・パネル上に物体が残るかで異なります。発電量の低下だけを見て原因を断定せず、同じ季節・天候・時刻の記録と比べます。
薄い影と不透明な物体は影響が違う
| 状態 | JPEAの説明 | 確認方法 |
|---|---|---|
| 建物・樹木・電柱などの薄い影 | 発電量は低下するが散乱光である程度発電 | 季節・時刻ごとの影の位置を記録 |
| 落ち葉など不透明な物体 | 物体の陰以上に発電量が低下する場合 | 地上から目視し、継続時は点検相談 |
影の広さと発電低下が比例しない理由
太陽光パネル(太陽電池モジュール)は、多数のセルが回路でつながっています。NEDOの技術ガイドは、モジュールを直列に組み合わせた単位を「太陽電池ストリング」と呼び、発電していないモジュールを回避するためのダイオードを「バイパスダイオード」としています。
影がかかった部分は発電が落ちるため、つながった回路全体の出力にも影響します。影の面積が小さくても、かかる場所によって出力の落ち方が変わることがあります。
産業技術総合研究所(産総研)の研究ポスターでは、バイパスダイオードは逆バイアス(セルに本来と逆向きの電圧がかかる状態)を防ぐために設けられているものの、セルの不整合や影のかかり具合によってはバイパスされない場合があると述べられています。また、NEDOの同じガイドは、発電量の推定で考える損失の項目に「影によるミスマッチ」(セル間の出力のそろわなさ)を挙げています。このため、影の広さと発電低下の大きさは単純な比例では表せず、ここで具体的な低下率を示すことはできません。
実際の低下幅は、パネルの配置や回路の構成で変わります。自宅の影の影響は、発電記録の比較で確かめます(次の節以降を参照)。
出典:NEDO「太陽光発電設備の評価・回復手法の技術情報および利用ガイド 電気編」/産総研「逆バイアス試験によるSi系太陽電池モジュール加速劣化試験の検討」
一部に影がかかったときの直列の影響(メーカーの説明)
パナソニックのよくある質問は、落ち葉など不透明な物体がモジュール表面に貼りつくと光が遮られて発電量が下がり、その影響は対象のモジュールだけでなく、直列につながった他のモジュール全体にも及ぶと説明しています。この影響を抑えるため、モジュール1枚ずつに複数のバイパスダイオードが付いており、一定量の影による出力低下を検知すると、そのエリアを迂回する設計だとされています。影のかかった範囲より、つながった回路全体の出力が下がる点が、日常の感覚と違うところです。
出力が何割下がるかは、モジュールの構成や影のかかり方で変わるため、メーカーの説明にも一律の数値はありません。ここでも具体的な低下率は示しません。
出典:パナソニック「【太陽光パネル】木の葉などで影ができたらどうなりますか。」(2026年10月9日確認)
時間帯・季節で影がのびる例(冬至の朝)
大阪市の「建築物環境計画書作成マニュアル」(太陽光発電システム編)は、周辺建築物による日射遮蔽の検討例として、冬至朝9時の太陽を想定し、影の長さを「高さ×2.2」とする図を載せています。同じ資料は、導入検討の段階では簡易な作図でも支障がないとしています。
たとえば高さ5mの建物や樹木なら、この想定では影は約11mのびる計算です(高さ5mは説明用の仮の値です)。太陽の高さが低い冬の朝夕は影が長くなるため、夏の昼間には届かない影が、冬の朝にはパネルにかかることがあります。
倍率は緯度と時刻で変わり、この図は大阪市の検討例です。自宅の南・東・西側にある建物、樹木、電柱が、季節と時刻ごとにどこまで影をのばすかは、冬の朝夕に屋根を見て記録すると確かめやすくなります。
出典:大阪市「建築物環境計画書作成マニュアル 3.再生可能エネルギー利用設備導入検討編 第2編 太陽光発電システム」図3(2026年10月9日確認)
長期遮光とホットスポット
JPEAは、不透明な物体が長期間貼り付いた状態では、遮光された部分のセルが高温になり特性が低下する「ホットスポット現象」が発生する場合があると説明しています。通常はモジュール内部のバイパスダイオードで回避する方策が採られていますが、異常を放置してよいという意味ではありません。
発電記録から確認する順番
- 同じ月の過去年や前週と発電量を比べる
- 天候と日照時間の違いを確認する
- 影が生じる時刻と発電低下の時刻を照合する
- 落ち葉・鳥のふん・新しい建物や樹木の変化を地上から確認する
- 異常表示や低下が続けば点検を相談する
汚れと清掃はパネル清掃のガイド、火災などの異常兆候は事故・火災リスクで確認できます。
影の原因が庭木の場合は、庭木が年ごとにどこまで高くなるかを知っておくと、将来の影を見込みやすくなります。実測の例として、庭木経年実測ラボのオリーブの成長記録があります。発電量を変えた場合の比較には卒FIT比較シミュレーターも利用できます。
発電量が減ったときの前年同月比較と原因の切り分けは発電量低下の確認方法、屋根の面積・重量・補強の確認はパネルを設置できる屋根の条件で整理しています。
よくある質問
Q薄い影でも発電は止まりますか?
AJPEAは、山・建物・樹木・電柱などの薄い影では発電量が低下する一方、周囲からの散乱光によりある程度発電すると説明しています。
Q落ち葉を放置するとどうなりますか?
A不透明な物体が貼り付くと、遮光範囲から単純に想定する以上に発電量が低下し、長期間続けば遮光部分のセルが高温になるホットスポットが発生する場合があります。
Q自分で屋根に上って落ち葉を取ってよいですか?
A転落や設備損傷のおそれがあるため、屋根に上る対応は避け、発電モニターの記録と地上から見える状況を伝えて点検を相談してください。
よくある質問
Q薄い影でも発電は止まりますか?
AJPEAは、山・建物・樹木・電柱などの薄い影では発電量が低下する一方、周囲からの散乱光によりある程度発電すると説明しています。
Q落ち葉を放置するとどうなりますか?
A不透明な物体が貼り付くと、遮光範囲から単純に想定する以上に発電量が低下し、長期間続けば遮光部分のセルが高温になるホットスポットが発生する場合があります。
Q自分で屋根に上って落ち葉を取ってよいですか?
A転落や設備損傷のおそれがあるため、屋根に上る対応は避け、発電モニターの記録と地上から見える状況を伝えて点検を相談してください。
本記事は一般的な情報提供です。発電低下の原因や点検・交換の要否を遠隔で断定するものではありません。屋根に上る作業や電気設備への接触は避け、異常が疑われる場合はメーカーまたは点検を担当する事業者へ相談してください。