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家庭用蓄電池には「経済モード」「グリーンモード」など、太陽光の余剰電力をどう扱うかを切り替える運転モードがあります。設置時のまま使い続けている場合、卒FIT(固定価格買取期間の終了)で売電価格が下がった後もモードを見直していないケースがあります。
ここでいう「運転モード」は、停電時に電力会社の系統から切り離して発電・給電を続ける「自立運転」とは別の仕組みです。停電時の自立運転については別記事で解説しています。
蓄電池のSOCとは:残量の割合とSOC下限・SOC上限
SOC(State Of Charge)は、蓄電池の充電状態(蓄電残量)を表す指標で、満充電を100%、完全放電を0%とします。ニチコンの公式用語集とオムロンの公式FAQで、この意味が確認できます。運転モードの設定画面に出てくる「SOC下限」「SOC上限」は、この残量の割合で動作の範囲を決める設定です。
| 設定 | 意味 | 運転モードとの関係 |
|---|---|---|
| SOC下限 | 停電に備えて常に残しておく蓄電残量(「ここまでは使う量」)。0%など低い値にすると、停電時に電気をすぐに使用できない場合がある | 停電時に使いたい場合は余裕を持った設定にするよう案内されている |
| SOC上限 | 深夜電力などの割安な電気で充電する量(「寝ている間に貯める量」) | 設定が有効なのはグリーンモード時のみ。経済モード・安心モードは100%固定で変更できない |
SOHとの違いや数値例は蓄電池のSOCとSOHの違いで整理しています。名称や設定方法はメーカー・機種によって異なるため、お手持ちの機種の取扱説明書で確認してください。
出典:ニチコン「用語集」、オムロン ソーシアルソリューションズ「SOC下限、SOC上限とは何ですか?」
経済モードとグリーンモードの違い(オムロンの場合)
オムロンの公式FAQでは、通常運転(系統連系時)のモードとして「経済モード」「安心モード」「グリーンモード」の3つが説明されています。
| モード | 優先する動き | おすすめの対象 |
|---|---|---|
| 経済モード | 太陽光発電の売電を優先。蓄電池は割安な深夜電力で充電 | FIT契約中(固定価格買取期間中)で売電価格が高い方 |
| 安心モード | 基本動作は経済モードと同じだが、充電量が50%まで減ると充電時間帯以外でも50%まで充電し維持 | 停電・災害に備えて常に一定の充電量を残しておきたい方 |
| グリーンモード | 太陽光発電での蓄電池充電を優先。満充電などで充電しきれない余剰分のみ売電 | 卒FIT(固定価格買取期間終了)で売電価格が下がる方、なるべく自家消費したい方 |
オムロンは「経済モード」を初期設定としており、切り替えない限り売電優先の動作が続きます。
出典:オムロン ソーシアルソリューションズ「経済モードと安心モードとグリーンモードの違いは何ですか?」
なぜ卒FIT後にグリーンモードが推奨されるのか
オムロンが配布する切替案内資料では、FIT(固定価格買取制度、2009年開始)による高価買取期間が2019年以降順次終了していること、買取期間満了後に新たに電力会社や買取業者と契約しても売電価格はそれまでの1/5程度になり得ることが説明されています。その上で「昼間の発電の余りを売電に回す経済モードでの運用」から「発電の余りを蓄電池に貯めて夜に使うグリーンモード」への切り替えがすすめられています。
資料には「買取期間の満了を迎えたら、グリーンモードへの切り替えがオススメです」と明記されており、切り替え方法として遠隔モニタリングサービスでの変更、または本体・リモコン操作での変更の2通りが案内されています。切り替え時にはSOC下限(停電に備えて常に残しておく蓄電残量)・SOC上限(夜間に電力会社の電気で充電する量)もあわせて設定できます。
出典:オムロン ソーシアルソリューションズ「蓄電池のモード切替のご案内(フレキシブル蓄電システム KPAC-Bシリーズ)」
ニチコンの場合:同様にグリーンモードへの切り替えを推奨
ニチコンの公式Q&Aでも「グリーンモード」「経済モード」という同名のモードが確認できます。グリーンモードは「太陽光で発電し、家庭内で使用した電力の余剰分を蓄電システムに充電することで、自給自足に近づけた使い方となる地産地消のモード」、経済モードは「太陽光で発電した電力の余剰分をすべて売電するエコノミーの設定モード」と説明されており、優先する動きの構造はオムロンと同様です。
ニチコンのユーザーサポートページでは「FITが終了したお客様は、『グリーンモード』への設定変更をおすすめします」と案内されており、専用の設定変更ガイド(PDF)には「FIT終了したらグリーンモードがお得です」「FIT終了により、売電価格が安くなり、売電メリットが少なくなります。太陽光の自家消費を優先するグリーンモードに切替ましょう」と明記されています。オムロンと同様、ニチコンも卒FIT後のグリーンモード切り替えを明示的に推奨しています。
出典:ニチコン「Q&A 12kWh ハイブリッド蓄電システム」、ニチコン「ユーザーサポート」、ニチコン「FIT終了後の設定変更について(押上有りモデル編)」
停電に備えて残す蓄電量の設定範囲(ニチコンの一例)
ニチコンの蓄電システム ESS-U4X1・ESS-U4M1の取扱説明書には、停電に備えて普段から一定の充電残量を残しておく「非常時安心設定」があります。出荷時は30%で、残量が設定値になると放電を停止します。設定値として選べるのは OFF(0%)・30%・40%・50%・60%・70%で、10%刻みです。
通常時に蓄電池残量が設定値+5%未満の場合は、誤作動防止のため放電を開始しないと記載されています。
OFF(0%)にすると深夜に充電した安い電力をすべて使えますが、停電時に蓄電池残量がゼロだと、翌日に太陽光で一定量充電されるまで停電中は電気が使えないと注意されています。これはこの2機種の取扱説明書の記載で、他の機種やメーカーの設定範囲は本記事では確認できていません。シャープ・長州産業・デンソー・デルタ電子については、公式資料から設定可能な数値範囲を確認できなかったため記載していません。
出典:ニチコン「蓄電システム ESS-U4X1/ESS-U4M1 取扱説明書」(非常時安心設定、25〜26ページ。販売店サイトに掲載されているPDFで確認)
太陽光発電がない場合の注意点
オムロンの公式情報では、太陽光発電システムを併設していない蓄電池単体の場合、グリーンモードは効果がないため設定しないよう案内されています。この場合、経済モードとグリーンモードは同じ動作(深夜電力を充電し朝〜夜に使う)になるとされています。ニチコン側については、本記事の確認時点で同様の注意書きを公式情報から確認できていません。
切り替え前に確認すること
モードの名称・区分・設定方法はメーカー・機種によって異なります。本記事で確認できたのはオムロン・ニチコンの一部機種の情報のみで、他メーカーや同メーカーの他機種では表示や操作手順が異なる場合があります。
切り替え前に、お手持ちの機種の取扱説明書、または販売施工店・メーカーサポート窓口で、モードの種類と現在の設定を確認してください。設置済み蓄電池のメーカー保証の確認方法もあわせて確認しておくと安心です。
運転モードの見直しは、売電継続・蓄電池設置・買取プラン変更という卒FIT後の3つの選択肢のうち、既に蓄電池を設置している場合の運用の工夫にあたります。蓄電池を使い続ける前提での寿命・劣化の考え方は別記事で解説しています。モード変更を含めた年間の売電収入・電気代削減額の試算は、当サイトの卒FIT後の比較シミュレーターで確認できます。
V2H(EV充放電設備)を併設している場合の太陽光優先充電の運転モードはV2Hの運転モードの選び方で解説しています。停電中に蓄電池の残量がなくなったあとの停止と再開の手順は停電中に蓄電池の残量がなくなったらどうなるかで確認できます。
エネファーム(家庭用燃料電池)を太陽光と併用した場合は、自家消費・売電量が変わります。その内容は「エネファームと太陽光を併用すると自家消費・売電量はどう変わる?」で整理しています。
よくある質問
Q「経済モード」と「グリーンモード」、卒FIT後はどちらを選べばいいですか?
Aオムロン・ニチコンいずれの公式情報でも、FIT契約中(固定価格買取期間中)で売電価格が高い間は経済モードがおすすめとされ、買取期間が満了して売電価格が下がった後はグリーンモードへの切り替えがおすすめと案内されています。ただし実際にどちらが有利かは電気料金プランや日々の電力使用パターンによって変わるため、契約中のメーカー・機種の案内もあわせて確認してください。
Qすべてのメーカーで同じモードがありますか?
A本記事で確認できた範囲では、オムロン・ニチコンともに「経済モード」「グリーンモード」という名称のモードがあります。オムロンにはこれに加えて、停電・災害に備えて充電量を一定以上残す「安心モード」もあります。モードの名称・種類・設定方法はメーカー・機種によって異なるため、お手持ちの機種の取扱説明書やメーカーサポートで確認してください。
Q太陽光発電がない家庭でもグリーンモードは意味がありますか?
Aオムロンの公式情報では、太陽光発電システムを併設していない場合はグリーンモードの効果がないため設定しないよう案内されています。この場合、経済モードとグリーンモードは同じ動作になるとされています。ニチコンについては、本記事の確認時点で同様の注意書きを公式情報から確認できていません。
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本記事は一般的な情報提供です。運転モードの名称・種類・設定方法・おすすめの条件はメーカー・機種によって異なるため、実際の切り替え前に取扱説明書またはメーカーサポートで最新の情報を確認してください。個別の投資・税務助言、電気工事の設計・実施は行いません。