停電が起きると、パワーコンディショナは安全のため電力系統から切り離されて一度停止し、そこから「自立運転」に切り替えることで、専用のコンセントから電気を使えるようになります。資源エネルギー庁も、住宅用太陽光発電設備の自立運転機能について周知資料を公表しています。
出典:資源エネルギー庁「停電時の住宅用太陽光発電パネルの自立運転機能について」(2018年9月6日)、「太陽光発電設備の自立運転機能の周知について」(2019年12月6日)
自立運転機能の仕組みと確認すること
停電時に自立運転を使うには、多くの機種で操作パネルを手動で切り替える必要があります。切り替え方法や、自立運転用コンセントの位置はメーカー・機種によって異なるため、日頃から取扱説明書で確認しておくことが大切です。
| 確認する項目 | 内容 |
|---|---|
| 切り替え方法 | 多くの機種で手動操作が必要。取扱説明書で事前に確認する |
| 自立運転用コンセントの位置 | 設置業者に確認するか、取扱説明書・パワーコンディショナ本体の表示を確認する |
| 使える時間帯 | 太陽光が発電している日中のみ(蓄電池が無い場合) |
| 出力の上限 | 専用コンセントの出力には上限があり、メーカー・機種によって異なる。シャープの取扱説明書は自立運転用コンセントで使用できる電力を最大1500Wまでと明記しており、三菱電機の取扱説明書も100V・15A(1500W相当)を上限としている。ご自宅の取扱説明書で確認し、同時に使う家電の合計消費電力を超えないようにする |
| 使用を避けるべき家電 | 掃除機・冷蔵庫・ドライヤー等、動作開始時に大きな電流(突入電流)が流れるモーター駆動の機器は動かない場合がある。また、発電量の変動で電源が切れると生命・財産に影響する恐れがある機器(シャープの取扱説明書は医療機器・暖房機器・情報機器〈パソコン等〉・調理家電〈炊飯器・電子レンジ等〉を例示)への接続は避ける必要があり、三菱電機の取扱説明書も生命に関わる機器への接続を厳禁としている |
出典:三菱電機「住宅用太陽光発電システムの自立運転機能」、シャープ「自立運転モードのご注意」
夜間・悪天候時は使えない
蓄電池が無い場合、太陽光パネルは夜間や日照が乏しい時に発電しないため、自立運転機能も使えません。停電が長引く場合、日中は自立運転で電気を使えても、夜間は使えない点に注意が必要です。
この弱点を補うのが蓄電池です。日中に発電した電気を蓄電池にためておけば、夜間や悪天候で発電が少ない時間帯にも電気を使えます。蓄電池導入時に使える補助金の現状はこちら、蓄電池の参考使用期間・劣化の考え方はこちらで確認できます。
なお、ここで説明した自立運転は停電時に切り替える緊急用の機能で、平常時に太陽光の余剰電力をどう扱うかを決める「経済モード」「グリーンモード」などの運転モードとは別の設定です。運転モードの違いはこちらで整理しています。
電気自動車(EV・PHEV)をお持ちの場合は、V2Hを使うとさらに長く電気を使える可能性があります。停電時にV2Hからどれだけ電気を使えるかの目安はこちらで整理しています。
後付けで蓄電池を設置する場合、FIT上の手続きとして事前変更届出が必要になることがあります。設備によっては消防法にもとづく消防署への届出や、電力会社への系統連系の届出も必要です。
日頃からの備え
停電が実際に起きてから手順を確認するのではなく、平常時に一度、自立運転への切り替え手順を試しておくと安心です。設置業者に依頼した際の説明書・保証書を保管し、コンセントの位置や対応ワット数をメモしておくことをおすすめします。
2019年の台風15号による大規模停電時、太陽光発電協会(JPEA)の実態調査では、蓄電池を併設しない住宅用太陽光発電システムのヒアリング対象486件のうち388件(79.8%)が自立運転機能を活用していました。調査期間は2019年9月20日〜10月10日です。一方、機能を活用しなかった理由としては「自立運転機能があることを知らなかった」(24件)「運転方法が分からなかった」(60件)が報告されており、事前に切り替え手順を確認しておく重要性がうかがえます。
出典:太陽光発電協会(JPEA)「災害時における太陽光発電の自立運転についての実態調査結果(台風15号)」
卒FIT後の年間の売電収入・電気代削減額の試算は、当サイトの卒FIT後の比較シミュレーターで確認できます。停電時の備えは金額の試算とは別に、設置業者・メーカーの取扱説明書を優先して確認してください。卒FITの基本的な確認事項は卒FITとは?買取期間満了後に確認することで整理しています。
台風や落雷に備える確認点は太陽光設備の災害対策で整理しています。蓄電池を併設している場合、停電時に使える範囲は本記事の自立運転コンセントとは異なる仕組み(全負荷型・特定負荷型)で決まります。蓄電池の「全負荷型」と「特定負荷型」の違いで解説しています。
蓄電池が系統とつながっている「連系運転」と、切り離される「自立運転」の違いは蓄電池の「連系運転」と「自立運転」の違いで整理しています。
よくある質問
Q停電になったら自動で自立運転に切り替わりますか?
A多くの機種では自動切り替えではなく、パワーコンディショナの操作パネルで手動で自立運転モードへ切り替える必要があります。手順はメーカー・機種によって異なるため、事前に取扱説明書で確認しておくことが大切です。
Q夜間の停電でも太陽光発電の電気は使えますか?
A蓄電池が無い場合、太陽光パネルは夜間や日照が乏しい時に発電しないため、自立運転機能も使えません。夜間や悪天候時にも電気を使いたい場合は、蓄電池の併用が必要です。
Q自立運転で家中の電気を使えますか?
A自立運転は専用のコンセント(自立運転用コンセント)からの給電に限られ、出力にも上限があります。上限のワット数はメーカー・機種によって異なるため、取扱説明書で確認し、同時に使う家電の合計消費電力を超えないようにする必要があります。
停電ではない曇り・雨の日の電気の流れは、発電不足分を買電する仕組みで整理しています。
本記事は一般的な情報提供です。自立運転の操作方法・対応ワット数はメーカー・機種によって異なるため、必ずご自宅の取扱説明書・設置業者の案内を確認してください。電気工事の設計・実施、個別の投資・税務助言は行いません。