売電の名義人(FIT認定事業者)の氏名が戸籍上変わっても、国の整理表では事業者名の変更は原則不要で、希望する場合だけ事後変更届出とされています。ただし電力会社の契約名義や住所を変えるときは、東京電力パワーグリッドの案内で、先に国の認定情報を変える流れが示されています。
名義人そのものが替わる相続は相続・名義変更のガイド、売電先の切り替えは買取先を変える手続きで扱います。本記事は、同じ人が名義人のまま氏名・住所・振込先だけが変わる場合に絞ります。
国の整理表で氏名・住所はどう書かれているか
国のFITポータルの変更手続整理表(第68版・2026年10月1日付)では、認定を受けた事業計画の項目ごとに、変更認定申請・事前変更届出・事後変更届出・卒FIT事前変更届出のどれを行うかが示されています。
| 変わる内容 | 整理表の記載 | 添付書類 |
|---|---|---|
| 戸籍上の氏名(姓の変更) | 事業者名の変更は原則不要。希望する場合は事後変更届出 | 戸籍謄(抄)本、印鑑証明書 |
| 事業者の住所 | 複数の手続きの列に印があり、本記事では区分を確定できていません | 個人は住民票の写し、住民票記載事項証明書のいずれか |
| 離婚による分与 | 事業者の変更の項目として掲載 | 登記簿謄本(所有権移転登記済)、公正証書または離婚協議書、双方の印鑑証明書、離婚届受理証明書 |
離婚で設備を分与する場合は、氏名の変更ではなく、事業者そのものが替わる扱いの項目です。太陽光パネルは建物附属設備として認められていないため、分与の際は建物と別に明示する必要があるとされています。
出典:再生可能エネルギー電子申請システム|操作マニュアル【変更認定申請】(第68版 2026年10月1日)/資源エネルギー庁「変更内容ごとの変更手続の整理表」(PDF)
電力会社の契約内容変更は国の手続きが先
東京電力パワーグリッドの低圧(50kW未満)の案内では、すでに同社と受給契約があり、名義・振込先口座・住所などの変更を希望する場合の流れが分かれています。
| 変える内容 | 先に必要なもの | 使う申込書 |
|---|---|---|
| 契約住所・契約名義・インボイス情報 | 事業計画認定の情報の変更。変更認定申請が完了した後に発行される「変更認定通知書」 | 再生可能エネルギー発電設備契約内容変更申込書(住所・名義訂正等) |
| 振込先口座 | 不要(事業計画の要件ではないため) | 電力受給契約申込書(低圧:再生可能エネルギー発電設備・口座変更申込書) |
申込書は、記載の宛先へメールで送ります。同社に出す内容は、事業計画認定通知書・変更認定通知書の記載と一致している必要があり、書類に不備があると手続きが進められないと書かれています。
この案内は東京電力パワーグリッドの管内のものです。他の地域の送配電事業者の取扱いは、本記事では確認していません。
出典:東京電力パワーグリッド|受給契約(FIT)のお手続き(発電出力50kW未満・契約内容変更)
確認できていない点
国の整理表の留意事項には、名義変更など特定契約の変更が必要になる手続きでは、変更認定通知書の写し、または事前・事後変更届出の受理日が分かるものを電力会社へ出すと書かれています。一方、東京電力パワーグリッドの案内に挙がっているのは変更認定通知書だけです。
そのため、氏名変更を事後変更届出で済ませた場合に、受理日が分かるものだけで東京電力パワーグリッドの契約名義を変えられるかは、本記事の確認時点では確認できていません。住所の手続き区分も、前の表のとおり事後変更届出で足りるかは確定できていません。
迷うときは、国のFIT・FIP制度の問合せ窓口(0570-057-333)と、契約中の電力会社の両方に確かめてください。
出典:再生可能エネルギー電子申請システム|操作マニュアル【変更認定申請】(添付書類等について・注記5)/資源エネルギー庁|変更認定申請又は届出手続における提出書類に係る参考様式(問合せ窓口の記載)
卒FIT後に届出が要るかどうか
整理表の操作マニュアルには、調達期間終了後の事業計画であっても、事後変更届出事由に該当する場合は様式第6による届出が必要と書かれています。その場合の添付書類は不要で、代行事業者が申請する場合だけ委任状と印鑑証明書が要ります。
卒FIT後に売電先を小売電気事業者へ移した場合の契約名義や住所の変更は、その契約先の案内に従います。当サイトの卒FIT後の比較シミュレーターや卒FITの手続き一覧から、次に取る手続きを確かめられます。
出典:再生可能エネルギー電子申請システム|操作マニュアル【変更認定申請】(添付書類等について・注記7)
窓口に伝えるメモを4行で作る
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 設備ID | 買取期間満了のご案内などに記載(不明なときはFIT設備IDの調べ方) |
| 変わった内容 | 氏名(戸籍上)、住所、振込先口座のどれか。変更日 |
| 契約中の相手 | 送配電事業者か、卒FIT後の小売電気事業者か |
| 国への手続きの担当 | 自分で行うか、代行事業者が行うか(代行は委任状と印鑑証明書が要る) |
よくある質問
Q結婚で姓が変わったら、FITの事業者名の変更は必須ですか?
A国の変更手続整理表では、婚姻・離婚等に伴う戸籍上の姓の変更の際の事業者名の変更は原則不要と書かれています。変更を希望する場合は、事後変更届出で届け出るとされています。
Q振込先の口座だけ変えるときも、国への手続きが必要ですか?
A東京電力パワーグリッドの案内では、事業計画の要件ではない振込先口座の変更は、国の変更認定通知書を用意せず、口座変更の申込書で手続きする流れになっています。
Q住所変更が国の手続きのどれに当たるか、確認できましたか?
A整理表の「事業者の住所」の行には添付書類(個人は住民票の写しなど)が書かれ、東京電力パワーグリッドは住所変更に変更認定通知書を求めています。ただし本記事の確認時点では、事後変更届出で足りるかなど、手続きの区分を確定できていません。FIT・FIP制度の問合せ窓口(0570-057-333)と契約中の電力会社で確かめてください。
本記事は一般的な情報提供です。個別の設備の手続きは、国のFIT・FIP制度の問合せ窓口と契約中の電力会社にご確認ください。電気工事の設計・実施には関与しません。