太陽光発電設備を相続・売却しても、資源エネルギー庁への名義変更の手続きを別途行わないと、FIT認定上の名義は変わらないままです。手続きの区分(変更認定申請・変更届出)は変更内容によって異なります。
出典:資源エネルギー庁「変更認定申請・変更届出・廃止届」/同「<変更内容ごとの変更手続の整理表>」(2026年4月1日更新)/同「50kW未満太陽光の変更申請手続の方法」(住宅用はこちら)
太陽光パネルは「建物の一部」として相続されない
資源エネルギー庁の整理表は、太陽光パネルは建物付属設備として認められているものではないと明記しています。そのため相続の際は、建物と別に太陽光発電設備を明示するか、太陽光パネルを含む全てを相続対象とした記載にするなど、発電設備が相続対象に含まれていることが遺産分割協議書等で確認できるようにする必要があります。不動産の名義変更(相続登記)を終えても、それだけではFIT認定側の名義は自動的に変わりません。
相続の場合の手続き
整理表では、相続による事業者変更は「事後変更届出」に該当するとされています。届出は相続人(譲受人)自身が行う必要があります。
- 01
被相続人の戸除籍謄本
附票を含む。附票がない場合は住民票の除票でも可とされています。
- 02
法定相続人全員の戸籍謄本
上記2点は、法務局が発行する法定相続情報の写しで代用できるとされています。
- 03
法定相続人全員の印鑑証明書
相続人全員分が必要です。
- 04
遺産分割協議書または相続人全員の同意書
発電設備が相続対象に含まれることが分かる記載にします。
- 05
土地の取得を証する書類等
発電設備の設置場所に関する書類です。
整理表の備考では、届出者が相続対象となる発電設備の所有権を有することが明らかで、認定審査上適切な審査が行えることが確認できる場合には、公正証書遺言書により審査を行うこともあるとされています。
売却・生前贈与の場合は手続きがより重い
相続とは異なり、売却や生前贈与などの事業譲渡は「変更認定申請」と「事後変更届出」の両方に該当し、相続より必要書類が多くなります。整理表が挙げる添付書類は、譲渡契約書または譲渡証明書、(法人の場合)双方の履歴事項全部証明書・(個人の場合)双方の住民票の写し等、契約当事者双方の印鑑証明書、土地の取得を証する書類等です。この場合も届出・申請は譲受人(買い手・もらう人)が行う必要があるとされています。
卒FIT世帯が確認しておきたいこと
整理表の留意事項では、名義変更など変更手続きに伴い電力会社との買取契約(特定契約)の変更が必要になる場合、「変更認定通知書の写し」または「事前・事後変更届出の受理日が分かるもの」を電力会社へ提出するよう求めています。つまり、資源エネルギー庁側の届出と、買取契約先の電力会社への提出は別の手続きであり、両方を行って初めて名義変更が完了します。卒FIT後に買取プランを比較・変更する場合も、まずFIT認定側の名義が実態と一致していることを確認しておくと手続きが進めやすくなります。
実際の手続きは「再生可能エネルギー電子申請」(外部の電子申請システム)で行います。50kW未満(住宅用の10kW未満を含む)の太陽光発電設備については、JPEA代行申請センター(JP-AC)が問い合わせ窓口になっています。
| 窓口 | 連絡先 |
|---|---|
| JPEA代行申請センター(JP-AC) | 0570-03-8210(平日9:20〜17:20、電話のみ) |
| 再エネ特措法(FIT・FIP制度)お問合せ窓口 | 0570-057-333(平日9:00〜18:00) |
資源エネルギー庁のページでは、行政書士または行政書士法人でない者が業として報酬を得て官公署提出書類を作成することは行政書士法違反にあたると注意喚起されています。書類作成を代行者に依頼する場合は、この点も確認しておくと安心です。
撤去・廃棄を検討している場合の相談先・注意点は太陽光パネルの廃棄・処分方法、卒FIT後の基本的な選択肢は卒FITとは?買取期間満了後に確認することで確認できます。相続・売却も踏まえて卒FIT後の収支を試算したい場合は、当サイトの卒FIT後の比較シミュレーターを参考にしてください。
よくある質問
Q太陽光発電を相続したら、不動産の相続登記だけで手続きは終わりますか?
Aいいえ。資源エネルギー庁の資料では、太陽光パネルは建物付属設備として認められていないと明記されています。不動産の相続登記(法務局)とは別に、FIT認定側の名義変更(事後変更届出)の手続きが必要です。
Q相続の場合、必要な書類は何ですか?
A資源エネルギー庁の整理表では、被相続人の戸除籍謄本、法定相続人全員の戸籍謄本、法定相続人全員の印鑑証明書、遺産分割協議書または相続人全員の同意書、土地の取得を証する書類等が基本の添付書類とされています。個別の案件によって必要書類が異なる場合があるため、詳細はJPEA代行申請センター等の窓口で確認してください。
Q売却する場合も、相続と同じ手続きですか?
Aいいえ。資源エネルギー庁の整理表では、相続の場合は「事後変更届出」のみが必要ですが、売却や生前贈与などの事業譲渡の場合は「変更認定申請」と「事後変更届出」の両方が必要とされ、譲渡契約書または譲渡証明書など、相続より多くの書類が求められます。
本記事は一般的な情報提供です。手続き区分・必要書類は個別の案件によって異なるため、詳細はJPEA代行申請センターまたは資源エネルギー庁の窓口に確認してください。相続税・遺産分割など相続に関する個別の判断は税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。特定の代行事業者・行政書士を推奨するものではなく、電気工事の設計・実施には関与しません。