国土交通省の資料は、住宅の所有者が一度限り持ち家を売却する場合、省エネ性能表示制度の努力義務の対象外になると明記しています。努力義務の対象は「建築物の販売又は賃貸を行う事業者」であり、個人が自宅を売却するだけではこれに該当しません。
制度の対象と「努力義務」の意味
2024年4月1日に施行された「建築物省エネ法に基づく建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度」は、事業者に対する表示の義務ではなく「努力義務」です。国土交通省は、告示に従って表示していない事業者に対して勧告・公表・命令を行うことができるとしていますが、これらの措置は制度施行後当面、社会的影響が大きい場合を対象に運用するとされています。
出典:国土交通省「建築物省エネ法に基づく建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度」特設サイト
対象になる建築物は「新築」、それも建築確認申請が2024年4月以降
努力義務の対象となる建築物は、2024年4月1日以降に建築確認申請を行った新築建築物(および同時期以降に再販売・再賃貸される場合)に限られます。卒FIT対象の住宅は設置から10年以上が経過しているケースが大半で、多くはこの新築向け「省エネ性能ラベル」の対象になりません。
太陽光発電はラベルにどう表示されるか
省エネ性能を示すラベルには、新築住宅向けの「省エネ性能ラベル」と、既存住宅向けの「省エネ部位ラベル」(2024年11月運用開始)の2種類があります。太陽光発電の扱いは、どちらのラベルかで異なります。
| ラベル | 対象 | 太陽光発電の表示 |
|---|---|---|
| 省エネ性能ラベル | 2024年4月以降に建築確認申請を行う新築建築物 | 「再エネ設備あり/なし」欄に表示。太陽光発電・太陽熱利用等の設備があれば「あり」 |
| 省エネ部位ラベル | 既存住宅(任意項目のため必須ではない) | 任意の副次的項目。設備により供給される電気が住宅で使用できる場合にチェックでき、設置・改修時期も記入 |
出典:住宅省エネ2025キャンペーン【公式】(国土交通省)「省エネ性能表示制度」案内資料/国土交通省「省エネ性能表示制度 事業者向け概要資料」
任意でラベルを取得したい場合
既存住宅向けの省エネ部位ラベルは、主たる項目(窓または給湯器のいずれかの入力が必須)に加え、太陽光発電を含む副次的項目を任意で選択できます。一般社団法人 住宅性能評価・表示協会が無料で提供する自己評価プログラムを使えば、所有者自身がラベルをPDFまたは画像データで発行できます。
本記事の確認時点で、この自己評価プログラムの利用対象者を特定の補助金キャンペーン参加者に限定する記載は公式資料から確認できていません。利用条件の詳細は同協会のサイトで直接確認してください。
出典:住宅省エネ2025キャンペーン【公式】(国土交通省)「省エネ性能表示制度」案内資料
過去に住宅用太陽光の補助金を受けている場合、売却時の返還義務の主体はこちらで整理しています。FIT認定の名義変更手続きはこちらで確認できます。売却前に売電継続・蓄電池併設・買取プラン変更を比較する場合は、当サイトの卒FIT後の比較シミュレーターで試算できます。
太陽光発電設備が固定資産税(償却資産)の課税対象になっていた場合、売却時の申告要否は固定資産税の課税区分で確認できます。
よくある質問
Q個人が自宅を売る場合、省エネ性能ラベルの表示は義務ですか?
Aいいえ。国土交通省の資料は、住宅の所有者が一度限り持ち家を売却する場合、この制度の努力義務の対象外になると明記しています。努力義務の対象は「建築物の販売又は賃貸を行う事業者」であり、反復継続的に建築物の販売・賃貸を行っているかで判断されます。
Q太陽光発電はラベルにどう表示されますか?
A新築住宅向けの「省エネ性能ラベル」には「再エネ設備あり/なし」の欄があり、太陽光発電・太陽熱利用等の設備が設置されている場合に「再エネ設備あり」と表示されます。既存住宅向けの「省エネ部位ラベル」では、太陽光発電は任意の副次的項目として扱われ、設備により供給される電気が住宅で使用できる場合にチェックできます。
Q既存住宅向けの省エネ部位ラベルは自分で取得できますか?
A一般社団法人 住宅性能評価・表示協会が無料で提供する自己評価プログラムで、所有者自身がラベルを発行できます。本記事の確認時点で、利用対象者を特定の補助金キャンペーン参加者に限定する記載は確認できていません。詳細は同協会のサイトで確認してください。
Q仲介する不動産会社にも努力義務はありますか?
A販売・賃貸を事業として行う事業者(仲介事業者を含む)は努力義務の対象です。ただし個別の取引でどう運用されるかは各社の対応によるため、詳細は仲介事業者へ確認してください。
本記事は国土交通省の公式資料にもとづく一般的な制度説明です。個別の売買契約・仲介業務における表示の要否は宅地建物取引業者・不動産会社へ、省エネ性能の評価・ラベル発行にかかる技術的な判断は住宅性能評価・表示協会等の窓口へ確認してください。個別の投資・税務助言、電気工事の設計・実施は行いません。