V2Hを導入しても、初期設定のままでは太陽光の余剰電力が優先的に車両充電に回るとは限りません。太陽光・蓄電池・EV・系統(電力会社からの電気)という複数の電気の流れを制御するV2Hには、目的に応じた「運転モード」が用意されている場合があり、太陽光優先で充電したいなら該当モードを選ぶ必要があります。
なぜモードの選択が必要なのか
V2Hは、太陽光や電力会社からの電気を車両(EV・PHEV)へ充電する機能と、車両から住宅へ電気を戻す給電機能の両方を持つ装置です。電気の流れが複数あるため、「太陽光の余剰電力を優先的に使う」「通勤で車を頻繁に使う」など、目的に応じてモードを選ぶ設計になっている機種があります。充電設備とV2Hの機能自体の違いはこちらで確認できます。
主要メーカーの運転モード
複数のメーカーが同様の考え方の機能を提供していますが、モード名称・設定方法・対応機種はメーカーごとに異なります。当サイトは特定のメーカー・製品を推奨するものではなく、機能の存在と仕組みを公式情報にもとづいて客観的に整理します。
| メーカー | 機能名 | 仕組みの概要 |
|---|---|---|
| ニチコン | グリーンモード | 太陽光発電の余剰電力を蓄電池と車両で自家消費したい場合に選ぶ運転モード。車両が未接続の昼間に蓄電池へ充電しておき、夜間の車両接続時に「エレムーブ」機能で蓄電池から車両へ電力を移す使い方も案内されている |
| ニチコン | EVモード/売電モード/AI運転モード | 通勤・買い物等で車両を日常使う場合は「EVモード」、太陽光を売電したい場合は「売電モード」を選ぶ。「AI運転モード」は蓄電池と車両の充放電設定を自動制御する(会員制サービスへの登録とAI機能への加入が条件) |
| デンソー | 余剰電力充電タイマー/グリーンタイマー | 設定した時間範囲内で、太陽光発電の余剰電力が大きいときに車両へ充電する。充電を停止する充電率を50%〜100%の範囲で5%刻みに設定できる |
出典:ニチコン「トライブリッド蓄電システム」、デンソー「V2H-充放電器 よくあるご質問」
太陽光を優先する充電順位
ニチコンの公式情報によると、車両への充電は「①太陽光発電、②蓄電池、③系統(電力会社)からの電力」の順に優先されます。この優先順位は、太陽光の余剰電力を自家消費したい場合に選ぶ「グリーンモード」の考え方にもとづくもので、モードの選択自体が異なれば優先順位の扱いも変わる可能性があります。
出典:ニチコン「トライブリッド蓄電システム」(充電優先順位)
天候によって想定通りにいかない場合がある
太陽光の発電量は天候によって変動するため、太陽光優先の運転モードを選んでいても、発電量が少ない日は車両への充電が計画通りに進まなかったり、電力会社からの買電で補う場面が生じたりする場合があります。エコキュートの昼間沸き上げ機能(こちらで解説)と同様、天候依存の機能である点は共通しています。
導入前に確認しておくこと
お使いの車両・V2H機器が対応機種かどうかは、型番を確認のうえメーカー公式サイトまたは取扱説明書で確かめてください。運転モードの名称・設定手順は機種ごとに異なるため、設定に迷う場合は契約中の施工業者・メーカーに個別にご相談ください。V2H自体の補助金制度はこちら、家庭用蓄電池との違いも同記事で確認できます。
EV充電用コンセント設置の国の補助金はこちらで確認できます。
卒FIT後の売電収入・電気代削減額の試算は、当サイトの卒FIT後の比較シミュレーターで確認できます(この試算にはV2Hの導入費用・運用効果は含まれていません)。卒FIT後に確認すべき項目全体は卒FITとは?買取期間満了後に確認することで整理しています。
よくある質問
QV2Hを導入すれば、自動的に太陽光の余剰電力が優先的に車へ充電されますか?
A機種によります。ニチコンのトライブリッド蓄電システムのように、太陽光の余剰電力を蓄電池・車両で自家消費したい場合に選ぶ「グリーンモード」等、目的別の運転モードが用意されている場合があります。初期設定のまま自動的に太陽光優先になるとは限らないため、お使いの機種の取扱説明書またはメーカー公式サイトで設定方法を確認してください。
Q運転モードは、車をよく使う日と使わない日で切り替えられますか?
Aメーカーによっては用途別のモードが用意されています。ニチコンには通勤や日中の買い物で車両を使う場合向けの「EVモード」もあり、太陽光優先の「グリーンモード」と使い分ける設計です。切り替えの手間や自動化の可否は機種ごとに異なるため、取扱説明書で確認してください。
QAI運転モードのような自動制御機能は、追加費用なしで使えますか?
Aメーカー・機種によって条件が異なります。例えばニチコンのAI運転モードは、会員制サービスへの登録とAI機能への加入が条件として案内されています。対応条件・費用はメーカー公式サイトまたは契約中の施工業者に個別に確認してください。
本記事は一般的な情報提供です。対応機種・運転モードの名称・設定方法・効果は製品・使用状況により異なるため、各メーカーの公式情報・取扱説明書、契約中の施工業者に個別にご確認ください。特定の施工業者・製品を推奨するものではなく、電気工事の設計・実施、個別の投資・税務助言は行いません。