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蓄電池の回収は、買う電気の単価と売る電気の単価の差で決まり、容量の大きさではほとんど変わりません。この差が大きい地域ほど、同じ1kWhの蓄電池で得られる金額が増えます。

本記事は、当サイトの試算前提と各電力会社の公式単価で、1kWhあたりの年間の得を地域別に計算します。そのうえで、15年で回収できる上限価格を、経済産業省が公表する導入費用と比べます。見積を見るときの目安として使えます。

1kWhの蓄電池が1年で生む得の計算式

卒FIT後の家庭では、昼に余った電気を売らずに蓄電池へ貯め、夜に使う形になります。貯めた分は売電収入を失い、夜に使った分は買う電気が減ります。

項目1kWhの蓄電池の場合根拠
1年に充電する量292kWh(放電深度80% × 年365回)当サイトの試算前提
1年に使える量262.8kWh(充放電効率90%)当サイトの試算前提
失う売電収入充電量 × 売電単価各電力会社の買取プラン
減る買電使える量 × 買電単価各電力会社の料金表
1年の得減る買電 − 失う売電収入上の2行の差

東京の例では、262.8kWh × 36.4円から、292kWh × 8.5円を引いて、1年の得は約7,084円です。

充放電のたびに約10%が失われるため、買電単価と売電単価の差だけでは計算できません。

出典:東京電力エナジーパートナー「再エネ買取標準プラン」(買取単価8.50円/kWh)、東京電力エナジーパートナー「従量電灯B」(第2段階36円40銭)、試算前提は当サイトの出典一覧に記載

地域別の「1kWhあたりの年間の得」と回収できる上限価格

旧一般電気事業者10社の公式な買電単価(第2段階)と買取プランの単価で、同じ式を当てはめました。15年で回収できる上限価格は、6.4万円から14.7万円まで、地域によって2倍以上開きます。

地域買電単価売電単価1kWhあたりの年間の得15年で回収できる上限
北海道41.98円8円8,696円130,445円/kWh
東北36.37円9円6,930円103,951円/kWh
東京36.4円8.5円7,084円106,259円/kWh
中部25.67円7円4,702円70,531円/kWh
北陸34.75円8円6,796円101,944円/kWh
関西25.71円8円4,421円66,309円/kWh
中国39.43円7.15円8,274円124,116円/kWh
四国37.27円7円7,751円116,258円/kWh
九州23.97円7円4,255円63,830円/kWh
沖縄45.74円7.7円9,772円146,581円/kWh

買電単価は各社の従量電灯の第2段階、売電単価は卒FIT後の標準的な買取プランです。燃料費調整額と再エネ賦課金は含めていません。契約中のプランで単価が違うときは、検針票の数字で読み替えてください。

出典:東京電力の例は上の出典のとおりです。ほか9社の料金表は当サイトの出典一覧に各社公式のURLを載せています。各社の買取プランは卒FIT買取単価の比較に出典つきで掲載

導入費用の公表値と比べる

経済産業省の資料は、家庭用蓄電システムの導入費用を、2022年度は1kWhあたり13.9万円、2023年度は12.1万円と示しています。いずれも工事費を含む額です。2030年の目標価格は7万円/kWhとされています。

2023年度の12.1万円と比べると、上限がそれ以上になる地域は北海道・中国・沖縄です。それ以外の地域では、電気代の節約だけで15年以内に回収するには、補助金などで実質の負担を下げる必要があります。

目標価格の7万円/kWhまで下がった場合は、北海道・東北・東京・中部・北陸・中国・四国・沖縄で上限を上回ります。関西・九州では、7万円でも上限に届きません。東京は上限が約10.6万円、関西は約6.6万円です。

出典:経済産業省「定置用蓄電システムの現状と課題」(2025年3月12日、導入費用の推移)

この計算で見えていないこと

  1. 01

    劣化と寿命

    参考寿命15年は、当サイトの試算前提です。実際の寿命と容量の劣化は機種で異なるため、保証年数と保証内容を見積で確認します。

  2. 02

    単価の変化

    買電単価と売電単価は、電力会社の改定で変わります。差が縮めば上限も下がります。

  3. 03

    設置の条件

    パワーコンディショナの交換や、全負荷・特定負荷の違いで、費用は変わります。

  4. 04

    停電時の安心

    金額に換算していません。停電時に家電が動く時間は別に計算してください。

自分の見積と比べる手順

  1. 01

    実質の負担額を出す

    見積の総額から、受け取れる補助金を引きます。蓄電池の補助金の現状で、国と自治体の制度を確認できます。

  2. 02

    1kWhあたりに直す

    実質の負担額を、蓄電池の容量(kWh)で割ります。

  3. 03

    自分の単価で上限を出す

    検針票の買電単価と、買取プランの売電単価を、上の式に入れます。

  4. 04

    見積書の項目を確認する

    機器代と工事費の内訳は、見積書チェックリストで確認します。

自分の発電量と電気の使用量で、蓄電池を付けた場合の年間の収支は、卒FIT後の比較シミュレーターで試算できます。容量の選び方は蓄電池の容量の選び方にまとめています。

よくある質問

Q家庭用蓄電池は電気代の節約だけで元が取れますか?

A当サイトの試算前提(充放電効率90%・放電深度80%・年365回・参考寿命15年)では、15年で回収できる上限価格は1kWhあたり6.4万〜14.7万円です。経済産業省の資料にある2023年度の家庭用蓄電システムの導入費用は1kWhあたり12.1万円で、補助金を使わない場合、この費用に上限が届く地域は3地域で、残りの7地域では届きません。実際の回収は、契約中の単価と見積額で変わります。

Q蓄電池の容量を大きくすると回収年数は短くなりますか?

A試算の式では、容量が増えても1kWhあたりの得と費用が同じ割合で増えるため、回収年数はほぼ変わりません。変わるのは、余剰電力が足りなくなって充電できない分が出る場合と、蓄電池を設置した後の家の使い方です。

Q売電単価が低いほど蓄電池に有利ですか?

A買電単価と売電単価の差が大きいほど、蓄電池を通した電気の価値は上がります。売電単価が下がると差が広がり、蓄電池の得は増えます。ただし、蓄電池を付けない場合の売電収入そのものは減ります。

Q停電への備えは、この計算に含まれていますか?

A含まれていません。本記事の計算は、電気代の節約と売電収入の差だけを扱っています。停電時に使える時間は、別の記事で計算の目安をまとめています。

Q補助金を使うと回収できる地域は増えますか?

A補助金の額は国・都道府県・市区町村で異なり、年度や条件で変わります。見積額から補助金を引いた実質の負担額を、本記事の上限価格と比べてください。

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本記事は概算で、投資や税務の助言ではありません。実際の回収年数は、契約中の単価、設置条件、補助金、機器の劣化で変わります。最終的な判断は、複数の見積と各社の公式情報で確認してください。

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