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家庭用蓄電池には、設置できる温度の範囲とは別に、充電や放電が止まる温度や、冬に容量が減ることを示した記載があります。寒冷地や冬の屋外設置を考えるときは、この3つ(設置できる温度、充放電できる温度、容量の変化)を分けて確かめます。
ニチコン、オムロン、セイコー電機、日本電気(NEC)の資料の数値は各社の特定の機種のもので、他の機種や他メーカーには当てはまりません。設置環境の一般論は蓄電池の設置環境、寿命や保証は蓄電池の寿命で整理しています。
資料で確認できた温度範囲
| メーカー・資料 | 記載された温度範囲 |
|---|---|
| ニチコン(トライブリッド蓄電システム) | 蓄電池ユニット:設置環境 −10〜+45℃、動作温度 −10〜+40℃。動作温度の範囲を超えると動作が停止したり出力が低下したりするが、範囲内に戻ると自動復帰する |
| オムロン(KPAC のカタログ) | 蓄電池ユニット:使用周囲温度 −10〜+40℃(6.5kWh・屋内設置)、−10〜+45℃(9.8kWh・屋外設置)。いずれも結露・氷結がないこと。パワーコンディショナは −20〜+50℃ |
| セイコー電機(ENEPAC-HyBriD、10kWh) | 設置可能温度範囲 −10〜40℃(屋外)、充電可能温度範囲 0〜40℃、放電可能温度範囲 −10〜40℃、室内リモコンは 0〜40℃ |
| NEC(小型蓄電システム ESS-003007C0/C1) | 蓄電ユニットの動作温度 −10〜40℃、操作パネルの使用温度範囲 −10〜40℃ |
4社の蓄電池ユニットで、下限が−10℃の機種が目立ちます。ただし、パワーコンディショナや室内リモコンは蓄電池ユニットと温度範囲が違う場合があり、ニチコンの資料ではパワーコンディショナが−30〜+45℃、室内リモコンが0〜+40℃と別に示されています。
出典:ニチコン「トライブリッド蓄電システム パワーコンディショナ・蓄電池ユニット取扱説明書」、オムロン ソーシャルソリューションズ KPAC カタログ、セイコー電機 ENEPAC-HyBriD 製品仕様(2022年7月)、NEC 小型蓄電システム ESS-003007C0/C1 取扱説明書(販売終了品の資料)
冬の低温で容量が減る
ニチコンの取扱説明書の仕様欄には、「冬季等の低温時は、蓄電池の特性により電池容量が減少します」という注記があります。カタログの「4.9kWh」「7.4kWh」といった容量は、常温を前提にした数値と読むのが安全です。減る割合は、確認した資料には書かれていません。
停電時に何時間動かせるかを容量から計算する場合は、冬の容量が表示より小さくなる可能性を見込んでおく必要があります。電池量から動かせる時間を見積もる考え方は停電時に家電が動く時間を参照してください。
低温では充電だけ止まる機種がある
セイコー電機の資料の例では、設置できる温度は−10℃からですが、充電できる温度範囲は0℃〜40℃で、放電できる温度範囲(−10℃〜40℃)より狭く示されています。同じ資料は、低温時の充電動作として「低温時には蓄電容量を確保する機能」があるとも書いています。具体的な動作内容は、確認した資料には書かれていません。
NECの取扱説明書には、本システムの内部温度が低温状態になったとき、操作パネルに「低温のため充電停止中」「低温のため充放電停止中」と表示される、という記載があります。対処は「内部温度が上がるまで、しばらくお待ちください」で、通常運転の状態の一つとして示されています。故障ではなく、温度が戻るまで待つ状態として案内されている点が読み取れます。
機種によって、低温で止まるのが充電だけか、充電と放電の両方かが違います。夜間に充電して朝に使う運転は、外気温が最も下がる時間帯に充電する形になるため、この違いが効いてくる可能性があります。ただし、資料から時間帯ごとの影響を数値で示すことはできません。
出典:ニチコン取扱説明書、セイコー電機 ENEPAC-HyBriD 製品仕様、NEC ESS-003007C0/C1 取扱説明書
確認できなかったこと
- 外気温が何℃のときに容量が何%になるか。資料に数値の表や図がありませんでした。
- 積雪で屋外ユニットが埋まる場合や、降雪地域での設置可否。
- パナソニック、京セラ、シャープなど、上記4社以外の機種の低温時の動作。
これらは、検討中の機種の取扱説明書、メーカーの窓口、設置を依頼する販売会社への質問で確認することになります。
見積もり時に聞くこと
- 機種の動作温度、充電できる温度、放電できる温度が、それぞれ何℃から何℃か。
- 最低気温が氷点下になる地域での設置実績や、冬の容量低下の目安があるか。
- 低温で充電や放電が止まったときの表示と、復帰の条件。
- 屋外設置と屋内設置で温度範囲が違うか、屋外設置に専用のケースなどが必要か(ニチコンの資料では、屋外設置に蓄電池屋外用ケースが必要とされています)。
- 低温による容量低下が、保証や補償の対象になるか。
蓄電池を併設した場合の年間収支の概算は卒FIT比較シミュレーターで試算できますが、冬の容量低下は反映していません。
まとめ
- 確認した4社の蓄電池ユニットは、動作温度の下限が−10℃の機種が中心でした。
- ニチコンの資料には、冬季の低温時に電池容量が減少すると記載されています。
- セイコー電機の例では、充電できる温度(0℃以上)が、放電できる温度(−10℃以上)より狭く示されています。
- NECの資料には、低温で充電や充放電が停止中と表示される状態が載っています。
- 数値や条件は機種ごとに異なるため、検討中の機種の資料で確かめます。
よくある質問
Q冬は蓄電池に貯められる量が減りますか?
Aニチコンの取扱説明書は、冬季などの低温時は蓄電池の特性により電池容量が減少すると記載しています。どの程度減るかの数値は、確認した資料には示されていません。
Q氷点下の日は充電できますか?
A機種によって異なります。セイコー電機の資料の例では、設置可能温度は−10℃〜40℃ですが、充電できる温度範囲は0℃〜40℃、放電できる温度範囲は−10℃〜40℃と分けて示されています。NECの取扱説明書には、内部温度が低い間は「低温のため充電停止中」などと表示され、温度が上がるまで待つよう案内があります。
Q寒冷地では蓄電池を屋内に置くべきですか?
A屋内と屋外のどちらが適するかは、本記事では判断できません。屋内か屋外かで資料に記載された温度範囲が異なる機種があり、屋内外の別、凍結・結露の条件、積雪を含めた設置可否は、検討中の機種の取扱説明書と販売会社の現地確認で確かめてください。
本記事は各メーカーが公表した取扱説明書・カタログの記載にもとづく一般的な情報提供です。数値は記載の機種のもので、他の機種の動作や冬の実際の容量を保証するものではありません。設置の可否や機種の選定は、販売会社の現地確認と見積もりをご確認ください。特定のメーカーや機種を推奨するものではなく、施工・設計や投資・税務の助言は行いません。