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太陽光発電設備の「廃棄等費用積立制度」の対象は、10kW以上のすべての太陽光発電のFIT・FIP認定事業です。10kW未満の住宅用太陽光発電設備は、この制度の対象に含まれません。
出典:資源エネルギー庁「太陽光発電設備の廃棄等費用積立制度について」(2021年9月17日)
制度ができた背景
太陽光発電設備の廃棄処理の責任は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律等により太陽光発電事業者等にあります。しかし太陽光発電事業は参入障壁が低く、事業主体の変更も起こりやすいことから、発電事業の終了後にパネルが放置・不法投棄されるのではないかという地域の懸念が顕在化しました。資源エネルギー庁の資料では、FIT法にもとづく事業計画策定ガイドラインで2018年4月から積立てが遵守事項とされたものの、積立ての水準や時期が事業者の判断に委ねられていたため、より確実な積立てを担保する制度として、2020年6月成立のエネルギー供給強靱化法による改正再エネ特措法にこの積立制度が盛り込まれました。
制度の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 10kW以上すべての太陽光発電のFIT・FIP認定事業(複数の太陽光発電設備設置事業を含む) |
| 住宅用(10kW未満) | 対象外 |
| 積立方法 | 原則、源泉徴収的な外部積立て(電力広域的運営推進機関が積立金を管理)。例外的に内部積立ても認められる場合がある |
| 積立時期 | 調達期間・交付期間の終了前10年間 |
| 施行時期 | 最も早い事業は2022年7月1日から積立て開始 |
積立金の管理主体と解体等積立基準額
積立金は、買取義務者(一般送配電事業者等)を経由して電力広域的運営推進機関(広域機関)に積み立てられ、広域機関が管理します。毎月の積立額は「供給電気量(kWh)×認定年度ごとの解体等積立基準額(円/kWh)」で決まり、FIT・FIP交付金から差し引かれます。広域機関のFAQでは、この単価は解体撤去工事費用の実態調査にもとづく平均的な単価で、設備ごとに異なる解体撤去費用の全額を賄うことを保証するものではなく、不足分は事業者の負担になると説明されています。
| 認定年度 | 区分 | 解体等積立基準額 |
|---|---|---|
| 2020年度 | 10kW以上50kW未満 | 1.33円/kWh |
| 2020年度 | 50kW以上250kW未満・250kW以上 | 0.66円/kWh |
| 2021年度〜2023年度 | 10kW以上50kW未満 | 1.33円/kWh |
| 2021年度・2022年度 | 50kW以上 | 0.66円/kWh |
| 2023年度 | 50kW以上 | 0.64円/kWh |
| 2024年度〜2026年度 | 地上設置・10kW以上50kW未満 | 0.60円/kWh |
| 2024年度〜2026年度 | 地上設置・50kW以上 | 0.62円/kWh |
| 2024年度〜2027年度 | 屋根設置・10kW以上 | 1.12円/kWh |
2012年度〜2019年度の認定分にも年度ごとの基準額(0.52円〜1.62円/kWh)が定められています。実際には、適用される調達価格・基準価格に対応する基準額が使われます。この表は制度の水準を知るための参考で、住宅用(10kW未満)には適用されません。
出典:調達価格等算定委員会「令和8年度以降(2026年度以降)の調達価格等について」⑤解体等積立基準額、電力広域的運営推進機関「廃棄等費用積立制度 FAQ」(2026-10-01確認)
事業用の大規模設備を対象としたこの積立制度は、2026年の設置義務化・リサイクル法案とは異なる、既存のFIT・FIP制度の一部です。両制度に共通するのは、いずれも大規模・事業用の設備を対象にしており、個人の住宅用太陽光発電設備は対象外という点です。
この10kW未満という区分は、住宅用太陽光が「余剰買取」のみを対象とする制度設計(余剰買取と全量買取の違い)とも共通します。
住宅用は対象外でも、廃棄費用がなくなるわけではない
制度上の外部積立義務がないことと、廃棄費用そのものが不要になることは別の話です。住宅用太陽光発電設備を実際に撤去・廃棄する場合の相談先・産業廃棄物としての扱い・FIT廃止届・補助金返還の注意点は太陽光パネルの廃棄・処分方法で確認できます。撤去したパネルがその後どこへ運ばれ、どう扱われるかは撤去した太陽光パネルのリユース・リサイクルの流れで確認できます。
撤去・廃棄にかかる費用は、複数の施工業者から見積もりを取って比較することが基本です。
将来の廃棄費用も踏まえた卒FIT後の収支は、当サイトの卒FIT後の比較シミュレーターで確認できます。撤去を検討する段階では、設備が固定資産税(償却資産)の対象になっていないかも、記事「太陽光発電・蓄電池に固定資産税はかかる?」で確認しておくと安心です。
よくある質問
Qこの積立制度は卒FIT世帯(住宅用太陽光)にも関係しますか?
Aいいえ。資源エネルギー庁の資料によれば、この制度の対象は10kW以上のすべての太陽光発電のFIT・FIP認定事業(複数の太陽光発電設備設置事業を含む)で、10kW未満の住宅用太陽光発電設備は対象外です。
Qなぜこの制度ができたのですか?
A太陽光発電事業は参入障壁が低く事業主体の変更も起こりやすいため、発電事業終了後にパネルが放置・不法投棄されるのではという地域の懸念が顕在化したことを背景に、廃棄費用の確実な積立てを担保するために創設されました。2020年6月成立のエネルギー供給強靱化法による改正再エネ特措法にもとづく制度です。
Q住宅用は対象外なら、廃棄費用の心配はしなくてよいですか?
A制度上の外部積立義務はありませんが、廃棄費用そのものが不要になるわけではありません。実際に撤去・廃棄する際の相談先や費用の考え方は「太陽光パネルの廃棄・処分方法」で確認できます。
本記事は資源エネルギー庁の公表資料にもとづく一般的な情報提供です。制度の詳細・対象範囲は今後変更される可能性があるため、経済産業省・資源エネルギー庁の公式発表を優先してください。個別の投資・税務助言、電気工事の設計・実施は行いません。