環境省の資料に載る測定例では、パワーコンディショナの磁界は最大61.9μT(測定距離0m)で、国際ガイドラインの参考レベル200μTを下回っています。太陽光パネルについては最大8.33μT(測定距離0.2m)です。
この記事は、環境省と経済産業省の公開資料から「測定例の数値」「指針値」「健康影響についての見解」を並べるものです。安全や危険を断定するものではなく、資料が示していない点は示していないと書きます。パワコンの置き場所そのものはパワコンの設置場所の確認項目、運転音は蓄電池の運転音の表示で扱っています。
どの機器から、どんな電磁界が出るか
電磁界は、電気が流れる導体のまわりに生じます。環境省の資料は、太陽光発電システムでは、パネルから静磁界、パワコンから超低周波磁界が生じているとしています。
| 発生源 | 磁界の種類 | 測定例(最大) |
|---|---|---|
| 太陽光モジュール(パネル) | 静磁界 | 8.33μT(測定距離0.2m) |
| パワーコンディショナ | 超低周波磁界 | 61.9μT(測定距離0m) |
2つの値は、測定距離も磁界の種類も違うため、単純には比べられません。パワコンの値は測定距離0mの最大値です。なお、環境省が引く測定は電磁界情報センターの2011年(平成23年)の資料で、測定時期は古めです。
出典:環境省「身のまわりの電磁界について」(令和5年3月)(2026-10-20確認)
ほかの身近な設備の測定例と比べる
同じ資料には、電力設備の測定例も載っています。条件がそれぞれ違うため、数字の大小だけで優劣は言えません。
| 場所・設備 | 測定例(最大) | 測定の条件(地磁気のみ平均値) |
|---|---|---|
| 架空送電線の下 | 1.57μT | 高さ1m |
| 地中送電線の上 | 19.60μT | 高さ0.5m・1.0m・1.5mの平均 |
| 屋外変電所(フェンスから0.2m) | 9.38μT | 高さ0.5m・1.0m・1.5mの平均 |
| 路上変圧器(0.2m離れた位置) | 3.94μT | 高さの3点の平均 |
| 地球の地磁気(静磁界) | 平均約46μT | 現在の日本の平均 |
パワコンの61.9μTは、測定距離0mという条件の最大値です。測定の高さや距離は、表の行ごとに違います。
出典:環境省「身のまわりの電磁界について」(令和5年3月)(2026-10-20確認)
指針値と国内の規制:200μTがひとつの目安
国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)は、一般の人々への曝露の制限値(参考レベル)を、2010年11月の改定で50Hz・60Hzともに200μTとしました。以前は50Hzで100μT、60Hzで83μTでした。
経済産業省は、この改定に基づき、平成23年3月31日に電気設備の技術基準を定める省令を改正し(同年10月1日施行)、変電所・開閉所・変圧器・電線路などの電力設備から発生する磁界を200μT以下とする規制を導入しました。
この規制の対象として示されているのは電力設備で、住宅用パワコンへの規制は示されていません。そのため、パワコンの測定例は「規制値との比較」ではなく、「指針値と並べたときの目安」として読みます。パネルから出る静磁界について、確認した資料は200μTの目安を示していません。
出典:経済産業省「電気設備から生じる電磁界」(2026-10-20確認、最終更新日2026年3月13日)
健康影響について、公的資料が述べていること
環境省の資料は、WHO(世界保健機関)の見解として、ICNIRPの参考レベルよりも低いばく露は健康への悪影響を何ら生じない、とこれまでのレビューが示していると紹介しています。ただし、より良い健康リスク評価の前に埋める必要のある知識のギャップは残っている、とも述べています。
低周波電磁界(送電線など)については、小児白血病に関連する証拠は因果関係と見なせるほど強いものではなく、その他の疾病の証拠は小児白血病よりもはるかに弱い、というのがWHOの見解です。
経済産業省が紹介する、平成5年の専門家検討会の報告書は、居住環境で生じる商用周波磁界により人の健康に有害な影響があるという証拠は認められず、居住環境の磁界の強さはWHOの環境保健基準などに示された見解に比べ十分低い、としています。一方で、今後も科学的な解明に努めることが望ましいとも書いています。
出典:環境省「身のまわりの電磁界について」、経済産業省「電気設備から生じる電磁界」(2026-10-20確認)
この資料から言えること・言えないこと
- 言えること:住宅用の太陽光発電システムから磁界が生じること、測定例の数値、国際ガイドラインと国内規制の200μTという目安。
- 言えないこと:個々の家のパワコンの磁界の強さ。測定例は最大値の報告で、機種や設置状況で変わります。
- 言えないこと:健康への影響が将来にわたって一切ないという保証。資料も、知識のギャップが残っていることを認めています。
気になる場合は、機器の仕様や設置場所について販売施工事業者・メーカーに確認できます。点検や設置位置の変更は、電気の知見のある事業者に依頼してください。パワコンの交換を考える時期はパワコンの交換時期で整理しています。卒FIT後の収支は卒FIT後の比較シミュレーターで試算できます。
よくある質問
Q太陽光パネルとパワコンでは、どちらから電磁波が出ますか?
A環境省の資料によると、太陽光発電システムでは、太陽光モジュール(パネル)から静磁界、パワーコンディショナ(パワコン)から超低周波磁界が生じています。
Qパワコンの磁界は、指針値を超えていますか?
A環境省の資料が引く測定例では、パワコンの磁界は最大61.9μT(測定距離0m)です。国際ガイドライン(ICNIRP、2010年改定)の参考レベルは50Hz・60Hzともに200μTで、この測定例はそれを下回っています。
Q電磁波は、小児白血病の原因になりますか?
A環境省の資料が紹介するWHOの見解は、低周波電磁界について、小児白血病に関連する証拠は因果関係と見なせるほど強いものではない、というものです。その他の疾病の証拠は、小児白血病よりもはるかに弱いとしています。
Q日本には、パワコンの電磁波を直接規制する決まりがありますか?
A経済産業省の説明では、200μT以下とする省令の規制は、変電所・開閉所・変圧器・電線路などの電力設備が対象です。確認した資料では、住宅用パワコンへの規制は示されていません。
Q電磁波が心配なとき、どこに相談すればよいですか?
Aこの記事は公的資料の整理で、健康についての助言ではありません。設置場所や機器の仕様については販売施工事業者やメーカー、健康への不安は医師などの専門家に相談してください。
本記事は公的資料の整理で、医学的・健康上の助言ではありません。健康への不安は医師などの専門家に、機器や設置の確認は販売施工事業者・メーカーに相談してください。
概算は本人利用の目安です。見積もりと契約書の確認を優先してください。