冬の補正は「電費に補正係数を掛けて月の充電量を出し直す」「V2Lは出発時の残量が減る分だけ使える電池量を引き直す」の2か所だけです。補正係数の値は車と使い方で変わり、全車共通の数字は確認できなかったため、自分の記録から決めます。
冬に確認できた事実
- 国土交通省は、電気自動車は冷暖房の使用や高速走行などにより電力消費量が大きく変動するとしています。
- JAF Mateの停車テスト(同一車種4台・電力残量70%から5時間・気温−6℃前後)では、エアコンを連続使用した車は残量が約4割まで減り、電気毛布を使った車は66%でした。暖房の選び方で消費が大きく変わる例です。
- トヨタ自動車のbZ4Xの取扱説明書は、特に外気温が低いときは駆動用電池を保護するため、DC外部給電システムを使用できないことがあるとしています。
出典:国土交通省「電気自動車のバッテリーを長持ちさせるには」(2026年10月9日に確認)。JAF Mate(2026年2月5日公開の暖房方法別の電力消費テスト)とトヨタ自動車 bZ4X 取扱説明書(2212版)は、各公式サイトで同日に確認した記載です
自分の補正係数の決め方
補正係数は、冬の電費(Wh/km)÷基準にする電費(Wh/km)です。基準には、夏から秋に自分で記録した電費を使います。記録がなければ、諸元表の交流電力量消費率(EVの自宅充電の電気代と卒FIT売電の比較で説明)を使います。車載のトリップ表示で月ごとの電費を記録しておけば、冬の月の値をそのまま割るだけで求まります。
電気代への反映(仮の値の計算例)
基準の電費を150Wh/km、月の走行距離を500kmと仮に置き、補正係数を変えた場合の月の充電量と東京電力EPの区域の金額を示します。電費と係数は特定の車の値ではありません。
| 補正係数(仮) | 冬の電費 | 月の充電量 | 買った場合(36.40円/kWh) | 売った場合(8.50円/kWh) |
|---|---|---|---|---|
| 1.0 | 150Wh/km | 75kWh | 約2,730円 | 約638円 |
| 1.2 | 180Wh/km | 90kWh | 約3,276円 | 約765円 |
| 1.4 | 210Wh/km | 105kWh | 約3,822円 | 約893円 |
出典:東京電力エナジーパートナー「再エネ買取標準プラン」・東京電力エナジーパートナー「従量電灯B・C」料金表
充電量は走行距離×電費で決まるため、係数が上がると買った場合の支払いも売った場合の受取額も同じ比率で増えます。1kWhあたりの差額は変わらないので、売る・買うの比較は基準の記事の結論を係数の分だけ読み替えます。
V2Lで使える時間への反映(仮の値の計算例)
使える電池量は、電池容量×(出発時の残量割合−給電が止まる下限の割合)です。電池容量40kWh、下限15%、消費電力1,000Wのエアコンを使うと仮定します。この条件は、V2Lで使える家電と使える時間の求め方の計算例と同じです。
| 給電を始める時点の残量 | 使える電池量 | 使える時間の目安 |
|---|---|---|
| 100% | 34kWh | 約34時間 |
| 80% | 26kWh | 約26時間 |
| 60% | 18kWh | 約18時間 |
冬は暖房などで走行中の消費が増え、給電を始める時点の残量が下がりやすくなります。上の表は残量だけを変えた計算で、低温で電池の使える量そのものがどれだけ変わるかは公式の数値を確認できていないため含めていません。外気温が低いと給電を始められないことがある点は、車の取扱説明書で確認してください。
V2Lで暖房機器を使う場合は、消費電力を機器の表示で確認して同じ式に入れます。V2Lは車から家電へ直接給電する方式、V2Hは家の分電盤につなぐ方式です。違いの詳細はV2LとV2Hの違いにまとめています。
よくある質問
Q冬に電費はどれくらい悪くなりますか?
A全車に共通する低下率は、今回確認した公的資料とメーカー資料では見つかりませんでした。国土交通省は、電気自動車は冷暖房の使用や高速走行などで電力消費量が大きく変動するとしています。自分の車の夏から秋の電費と冬の電費をトリップ表示などで記録し、その比を補正係数にするのが確実です。
QV2Lは冬でも夏と同じ時間使えますか?
A同じとは言えません。トヨタ自動車のbZ4Xの取扱説明書は、特に外気温が低いときは駆動用電池を保護するため、DC外部給電システムを使用できないことがあるとしています。その場合は、しばらく走行して駆動用電池を暖めてから使用するよう案内しています。使える量が低温で何%減るかを示す公式の数値は確認できませんでした。
Q冬の暖房は何で変わりますか?
AJAF Mateのテストでは、同一車種のEV4台を気温−6℃前後で5時間停車させて比べています。電力残量70%から、エアコンを連続使用した車は約4割まで、電気毛布を使った車は66%までの減少でした。1車種・停車中の条件のため、走行時の電費の低下率には使えません。
本記事は一般的な情報提供です。計算例の電費・補正係数・電池容量は仮の値で、実際の電費・使える時間は車両、気温、使い方によって異なります。特定の車種・メーカー・施工業者を推奨するものではなく、電気工事の設計・実施、個別の投資・税務・法律の助言は行いません。料金単価は契約中のプランの最新の案内で確認してください。