V2Lは車から取り出した電気を家電製品へ直接使う可搬方式、V2Hは住宅に給電設備を設置して施設側へ電気を送る方式で、必要な機器も使い方も別物です。どちらも電気自動車を非常用電源として使う仕組みですが、次世代自動車振興センターの用語集でも別々の装置として説明されています。

V2LとV2Hの定義

次世代自動車振興センターは、外部給電器(V2L)を「電気自動車(EV)・プラグインハイブリッド自動車(PHEV)・燃料電池自動車(FCV)から電力を取り出す装置」と説明しています。可搬型のため容易に移動でき、災害時は避難所等での電力供給源として期待されています。

出典:次世代自動車振興センター「外部給電器(V2L)」

一方でV2Hは、「電気自動車・プラグインハイブリッド自動車への充電、並びに電気自動車・プラグインハイブリッド自動車から施設へ放電(給電)ができる装置」と説明されています。V2Lは車から機器へ直接電気を渡す可搬装置、V2Hは施設に設置して住宅側へ電気を送る設備という違いです。

出典:次世代自動車振興センター「V2H充放電設備(V2H)」

5つの軸で比較する

V2L(外部給電器)とV2H(充放電設備)の比較
比較軸V2L(外部給電器)V2H(充放電設備)
電力の行き先家電製品など個別の機器住宅の分電盤を通じた特定回路・住宅全体
必要な機器外部給電器、または車両標準装備のコンセントV2H充放電設備の設置
設置工事基本的に不要分電盤との接続工事が必要
出力の目安車両・外部給電器の仕様による機種によって大きく異なる
主な使いどころ停電時に家電を個別に使う、屋外レジャー等停電時の住宅給電、平常時の電力活用

出力の違いをもう少し詳しく

V2Lの出力は、車両標準装備のコンセントを使うか、外部の給電器を使うかで変わります。例えばトヨタの一部車両は、車内のAC100Vアクセサリーコンセントから、最大消費電力1500W以下の電気製品を外部給電器なしで使える仕様です。

出典:トヨタ自動車「AC100Vアクセサリーコンセントの使い方」

V2Hの出力は機種によって大きく異なり、住宅全体をバックアップできる機種もあれば、対応回路が限られる機種もあります。詳しい出力容量と給電できる期間の目安はV2Hは停電時にどれだけ使える?出力容量と給電できる期間の目安で整理しています。

導入費用・工事の違い

V2Lは外部給電器本体の購入が中心で、車両が対応していれば大掛かりな工事は不要です。V2Hは充放電設備の本体費用に加え、分電盤との接続工事が必要になるため、初期費用は高くなりやすい傾向があります。工事内容と見積もりの比較項目はEV充電設備とV2Hの違い、V2Hの費用・補助金の考え方はV2H充放電設備とは?蓄電池との違いと国の補助金で整理しています。

外部給電器にも国の補助金が案内されていますが、V2H充放電設備とは別の制度・要領です。次世代自動車振興センターが案内する令和7年度補正予算の外部給電器導入補助金は、2026年8月27日到着分をもって申請受付を終了しています。制度は年度ごとに内容が変わるため、検討時は同センターの最新案内を確認してください。

出典:次世代自動車振興センター「外部給電器の導入補助金」

卒FIT家庭が非常用電源を選ぶときの視点

停電時に特定の家電を一時的に動かしたいだけならV2L、住宅の分電盤を通じて複数回路・住宅全体をカバーしたいならV2Hが検討の起点になります。どちらも対応車両が限られるため、導入前に車両とV2L・V2H機器の組合せをメーカーの適合表で確認します。

卒FIT後の売電収入・電気代削減額の試算には、V2L・V2Hの導入費用や運用効果は含まれていません。導入を検討する場合は、卒FIT後の基本の収支を卒FIT後の比較シミュレーターで確認したうえで、非常用電源にかける費用を別途見積もることをおすすめします。太陽光の余剰電力をV2Hの車両充電に優先して回す運転モードの考え方はV2Hで太陽光の余剰電力を優先して車に充電する、通常のEV充電設備の補助金はEV充電用コンセントの国の補助金で整理しています。

よくある質問

QV2Lなら住宅全体に給電できますか?

Aいいえ。V2L(外部給電器)は車から取り出した電気を家電製品などへ個別に供給する方式で、住宅の分電盤とは接続されていません。住宅の特定回路・全体への給電はV2H充放電設備の役割です。

QV2Lを使うのに工事は必要ですか?

A可搬型の外部給電器を車両のコンセント等に接続して使うため、一般的にV2H充放電設備のような設置工事は不要です。ただし対応する車両と外部給電器の組合せは事前に確認が必要です。

Q外部給電器がなくてもV2Lは使えますか?

A車両によります。トヨタの一部車両は車内にAC100Vアクセサリーコンセント(最大消費電力1500W以下)を標準装備しており、外部給電器なしで電気製品を使えます。非対応の車両では外部給電器を別途用意する必要があります。

QV2Lの国の補助金はまだ申請できますか?

A次世代自動車振興センターが案内する令和7年度補正予算の外部給電器導入補助金は、2026年8月27日到着分をもって申請受付を終了しています。最新の受付状況は同センターの案内で確認してください。

本記事は一般的な情報提供です。対応車両、設備仕様、給電範囲、工事、保証、補助要件は製品・年度で異なるため、メーカー公式情報・契約中の施工業者に個別にご確認ください。特定の施工業者・製品を推奨するものではなく、電気工事の設計・実施、個別の投資・税務助言は行いません。