分譲マンションでは、工事の前に管理組合(理事会)へ相談し、総会で決議を得る流れが公的資料で示されています。賃貸の駐車場では、貸主の許可が先に必要です。

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分譲マンションの手続きの順番

経済産業省・国土交通省のガイドブック(2017年6月改訂)のマンション編は、設置までの流れの例を次の5段階で示しています。

  1. 区分所有者が管理組合(理事会)に相談する。
  2. 管理組合(理事会)が、自らの契約電力と消費電力の傾向を検討したうえで、電力供給の契約の変更を伴うかどうかなどを、電気工事業者を通じて小売電気事業者に相談する。
  3. 管理組合(理事会)が、どこにどのような充電設備を置くかを検討し、電気工事業者に設置工事費の見積もりなどを依頼する。
  4. 管理組合(理事会)が、設置工事と駐車場使用細則など(必要に応じて管理規約や細則を含む)の変更を、総会の議案として提出する。
  5. 総会で可決された場合に、設置工事を行う。

同ガイドブックは、各マンションの管理規約を確認するよう案内しています。2017年版のため、決議の考え方は次の章の国土交通省の資料とあわせて読んでください。

出典:経済産業省・国土交通省「電気自動車・プラグインハイブリッド自動車のための充電設備設置にあたってのガイドブック」(マンション編)

総会の決議と費用負担の考え方

国土交通省のマンション標準管理規約(単棟型)のコメントには、令和6年6月7日の改正で、充電設備の設置工事の決議についての記述が加わりました。充電器の設置や配線を通す配管の設置など、建物の躯体部分や敷地への加工の程度が小さい工事は、普通決議により実施可能と考えられる、とされています。敷地へ相当程度の加工を加えずに受変電設備を変更する場合も同様です。

一方で、大規模なものや著しい加工を伴う駐車場の増改築などは特別多数決議(区分所有者と議決権の各4分の3以上)とされ、基本的には各工事の具体的内容に基づく個別の判断になります。お住まいのマンションで必要な決議の種類は、管理組合・管理会社に確認してください。

費用と使い方のルールについて、同コメントは次のように述べています。

  • 充電設備の使用上のルールや使用料は、駐車場使用細則などに定めることが望ましい。
  • 設置にかかる費用と、運営・維持費を誰がどの程度負担するかは、あらかじめ総会で決議しておくことが望ましい。

2017年版のガイドブックでは、管理規約の変更には特別決議が必要で、使用細則の制定・変更は普通決議とされています。共用部分の電気料金や工事費は、まず管理組合が負担し、必要に応じて利用者から徴収する整理です。

出典:国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)新旧対照表」(令和6年6月7日改正)、経済産業省・国土交通省「充電設備設置にあたってのガイドブック」(標準管理規約は令和7年10月17日にも改正されていますが、EV充電に関する記述の変更の有無は未確認です)

電力会社への確認で見る点

同ガイドブックは、電力容量が不足したまま充電すると共用部分全体が停電しうるため、余剰の電気容量の確認が特に重要としています。不足する場合は、契約電力容量の変更や電気設備の増設が必要になります。

この確認は管理組合が電気工事業者を通じて行う流れで、個人が単独で電力会社に依頼する前提ではありません。配線や容量の設計は、本記事では扱いません。

賃貸住宅の駐車場に付けるとき

同ガイドブックは、賃貸の場合について、一般的な駐車場賃貸借契約では駐車場の現状を変更するときに貸主の許可が必要で、充電設備を設置する場合も同様と説明しています。賃貸借の終了時に原状回復義務を負うのが一般的なため、充電設備を現状のまま引き渡すか原状回復するかも、貸主と事前に調整しておくことが望ましいとされています。

賃貸マンションや賃貸アパートは、同ガイドブックでは区分所有建物でない建物としてビル編の対象に含まれます。管理会社が間に入る場合は、貸主への取り次ぎ方も含めて確認してください。

出典:経済産業省・国土交通省「充電設備設置にあたってのガイドブック」(賃貸の場合の注意点)

補助金を使うときの確認点

次世代自動車振興センターの令和6年度補正・令和7年度の充電設備の補助金(申請の手引き、令和7年4月)には、「マンション、月極駐車場及び事務所・工場等への充電設備設置事業(基礎充電)」があります。申請できる方は地方公共団体、法人、個人で、対象は分譲または賃貸マンション等の共用部の駐車場と居住者専用駐車場です。

分譲の場合は、交付申請時に住民総会で設置が決議されているか、理事会で合意されていることが要件です。賃貸の場合は、所有者が設置を承認したことを示す許諾書などを提出し、設置完了から5年間以上許諾されていることが必要とされています。

管理組合が申請者の場合は、導入規模が小さい普通充電設備向けの簡易申請もあります。ただし、申請できる工事項目が通常申請より少なく、補助金額も大幅に少なくなると案内されています。

戸建て住宅向けのコンセント補助は別の制度で、集合住宅は対象に含まれません。受付状況は変わるため、申請前に公式サイトで最新の手引きを確認してください。戸建ての制度は戸建て住宅充電用コンセント補助金で整理しています。

出典:次世代自動車振興センター「令和6年度補正・令和7年度 充電・充てんインフラ等導入促進補助金 申請の手引き 充電設備(第1期・第2期分)」(令和7年度補正の最新の手引きは未確認)

V2Hを付けたいとき

V2H充放電設備は、充電だけの設備より工事の範囲が広がります。補助の対象になる工事項目はV2H設置工事の補助対象項目と上限額、設備の違いはEV充電設備とV2Hの違いで確認できます。

本記事の出典はいずれも充電設備全般の手続きで、V2Hを共用部に付ける場合の決議の扱いは確認できていません。V2Hを検討する場合も、まず管理組合に相談してください。

関連記事を状況別に読む順番はEV充電・V2H・V2L・蓄電池の記事の読む順番にまとめています。

よくある質問

Q分譲マンションで自分の駐車区画にEV充電設備を付けるとき、まず誰に相談しますか?

A経済産業省・国土交通省のガイドブックのマンション編では、最初に区分所有者が管理組合(理事会)に相談する流れが示されています。工事を始める前に、管理規約と駐車場使用細則を確認してください。

Q賃貸の駐車場に充電設備を付けるには、大家の許可が必要ですか?

A同ガイドブックは、一般的な駐車場賃貸借契約では駐車場の現状を変更する場合に貸主の許可が必要で、充電設備の設置も同様と説明しています。個別の契約内容は契約書で確認してください。

Qこの記事で、自分のマンションで総会決議が必要かどうか分かりますか?

A決議の種類は工事の具体的内容による個別の判断とされています。本記事では判定せず、管理組合・管理会社・電気工事の事業者への確認を前提に、考え方の出典を示します。

本記事は一般的な情報提供です。決議の要否、契約容量、補助金の対象は、管理組合・貸主・電力会社・電気工事の事業者・次世代自動車振興センターの案内を優先してください。

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