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太陽光発電や家庭用蓄電池を、販売会社とは別の信販会社のローンで契約する場合、割賦販売法が支払い能力の調査、8日以内の撤回、販売会社への抗弁を定めています。金額が大きく、契約後の支払いが長く続くため、契約前に仕組みを知っておくと、契約書のどこを見ればよいかが分かります。

訪問販売そのものの断り方とクーリング・オフの通知の書き方は、関連記事の訪問販売トラブルに注意で整理しています。本記事は、支払い方法がローンのときに加わる確認点に絞ります。

国民生活センターに寄せられた、ローン契約の相談

国民生活センターによると、家庭用蓄電池に関する相談は、2016年度の325件から増え、2019年度は1,302件、2020年度は1,314件でした。2019年以降、固定価格買取制度の買取期間が順次満了していることが背景にあります。

同センターが紹介した事例には、ローンの金額に関するものがあります。販売会社から150万円と聞いていたのに、ローンの契約書の合計が約250万円で、差額の明細が分からなかった例です。契約書には、10年ごとにメンテナンス費用が発生すると書かれていたのに、説明を受けていなかったとされています。

クレジットで約330万円の契約をした翌日にクーリング・オフを申し出たところ、事業者から「通知の送付は不要」と言われ、解約できたのか不安になった例も紹介されています。

出典:国民生活センター「家庭用蓄電池の勧誘トラブルにご注意!」(令和3年6月3日の報道発表。相談事例は2020年度に受け付けたもの)

契約の当事者は2社になる

個別クレジットでは、商品や工事を売る販売会社と、支払いを請求する信販会社が別になります。割賦販売法は、この契約を「個別信用購入あつせん」と呼び、信販会社を「個別信用購入あつせん業者」として規制しています。

契約書類も2種類になります。工事や商品の内容を定める販売契約の書面と、支払回数や支払総額を定めるクレジット契約の書面です。どちらの書面にも、受け取った日付が残ります。8日の数え方が書面の受領日から始まるため、受け取った日をメモしておきます。

割賦販売法が定める3つの仕組み

個別クレジットに関する割賦販売法の主な定め(条文の要点)
仕組み条文内容
支払い能力の調査第35条の3の3信販会社は、契約の前に、年収、預貯金、借入れの状況などを調べる。調べた記録は保存する。
申込みの撤回・解除第35条の3の10訪問販売などで申し込んだ場合、書面を受け取った日から起算して8日を経過するまで、書面で撤回・解除できる。
販売会社への抗弁第35条の3の19販売会社に生じている事由を、支払いを請求する信販会社に対しても主張できる。

出典:e-Gov法令検索「割賦販売法」(第35条の3の3、第35条の3の10、第35条の3の19。2026年10月10日に条文を確認)

8日以内の撤回で決まっていること

第35条の3の10は、撤回の効力を、書面を発したときに生じるとしています。撤回した場合、信販会社は損害賠償や違約金を請求できません。販売会社も、同じ請求ができません。

信販会社が販売会社へすでに代金を渡していても、利用者へ代金相当額を請求できません。利用者から金銭を受け取っていた場合は、速やかに返還する決まりです。商品の引取りに必要な費用は、販売会社の負担と定められています。

事業者から撤回の事項について事実と異なる説明を受けたり、威迫されて困惑したりして8日が過ぎた場合は、撤回できる旨を記載した書面を受け取った日から8日までとする例外もあります。8日を過ぎたかどうか迷うときは、日付を自分で決めつけず、消費生活センターに相談します。

販売会社への抗弁で、できること・できないこと

第35条の3の19によると、販売会社に生じている事由には、たとえば工事が契約どおりに行われていない、説明と違うといった事情が当たる可能性があります。利用者は、その事情を理由に、支払いを請求する信販会社へ対抗できます。

この定めには、次の条件がついています。

  • 利用者は、信販会社から求められたときは、対抗する理由を書いた書面を提出するよう努める。
  • この定めに反する特約で、利用者に不利なものは無効になる。
  • 支払総額が政令で定める金額に満たない場合は、適用されない。

条文があることと、支払いを止められることは同じではありません。実際に使えるかどうかは、契約の内容と事情で変わります。トラブルになったときは、支払いを止める前に、消費者ホットライン188から最寄りの消費生活センターへ相談します。

契約書でそろえて確認する項目

国民生活センターの事例では、見積額と契約書の合計額が違って見える点や、契約書にあって説明がなかった保守費用が問題になっていました。次の項目を、販売契約の書面とクレジット契約の書面で見比べます。

販売契約とクレジット契約の見比べ表
確認する項目見る場所見るポイント
現金での支払総額見積書・販売契約機器代、工事費、申請代行の費用が、内訳つきで分かれているか
ローンでの支払総額クレジット契約現金の総額との差が、いくらか。差額の内訳が書かれているか
支払回数と毎月の額クレジット契約卒FIT後の売電収入や電気代の減少を、返済の原資として説明されていないか
保守・点検の費用販売契約・保証書定期的に発生する費用の有無と、金額、時期
補助金の申請販売契約申請を誰が行うか、補助金が出なかったときの扱い
書面の受領日各書面の日付8日の数え始めになる日を、手元に控えているか

国民生活センターは、固定価格買取制度の買取期間が終わったあとについて、蓄電池で自家消費するほうが売電より得とは限らないと述べています。どちらが経済的かは、電気料金、蓄電池の価格、小売電気事業者の買取メニューで変わるためです。

「浮いた電気料金でローンを払えるので、実質の負担はない」という説明も、同センターの事例に含まれています。自分の電気代と売電収入で試算し直してから、返済額と比べます。当サイトの卒FIT後の比較シミュレーターで、地域別の買取単価を使った試算ができます。

出典:国民生活センター「家庭用蓄電池の勧誘トラブルにご注意!」(「必ずしも余剰電力の売電より自家消費する方が経済的なメリットが大きいとは限りません」の項と事例5)

契約前・契約後の流れ

  1. その場で契約せず、複数社から見積書を取り、現金払いの総額とローン払いの総額を並べる。
  2. 契約するときは、販売契約とクレジット契約の両方の書面を受け取り、受け取った日を控える。
  3. 契約をやめたくなったときは、8日を経過する前に、書面で撤回の通知を出す。通知の控えと発信の記録を残す。
  4. 工事や説明に不審な点があるときは、支払いを止める前に、消費者ホットライン188へ相談する。

確認できた範囲について

本記事は、割賦販売法の条文と、国民生活センターの2021年の報道発表を確認した内容です。個別クレジット契約の細かい要件(営業所での契約の扱い、支払総額の下限額、書面の記載事項)は、契約ごとに異なります。ローン会社の約款や最新の運用は、確認できていません。個別の契約について、撤回や支払停止ができるかどうかは、本記事では判断しません。

まとめ

  • 個別クレジットでは、販売会社と信販会社の2社が契約の当事者になる。
  • 訪問販売などの契約では、書面を受け取った日から起算して8日を経過するまで、書面で撤回・解除できる定めがある。
  • 販売会社に生じている事由を、信販会社へ主張できる定めもある。ただし、支払総額が小さい場合などは適用されない。
  • 現金の総額とローンの総額の差、保守費用、補助金申請の扱いを、書面で見比べる。
  • 困ったときは、消費者ホットライン188へ相談する。

よくある質問

Qローンを組んだ後でも、契約をやめられますか?

A割賦販売法には、訪問販売など営業所以外で申し込んだ場合などに、契約書面を受け取った日から8日を経過するまで、書面で申込みの撤回や解除ができる定めがあります。撤回した場合、信販会社は損害賠償や違約金を請求できず、すでに受け取った金銭は返還することになっています。個別の事情は消費生活センター(消費者ホットライン188)で確認してください。

Q施工が不十分なとき、ローンの支払いは止められますか?

A割賦販売法第35条の3の19には、販売会社に対して生じている事由を理由に、支払いを請求する信販会社へ対抗できるという定めがあります。ただし、支払総額が政令で定める金額に満たない場合は適用されず、実際に使えるかどうかは契約内容と事情で変わります。トラブルになったときは、消費生活センターへ早めに相談してください。

Q見積額とローン契約書の合計額が違うのはなぜですか?

A国民生活センターの相談事例には、販売会社から150万円と聞いていたのに、ローンの契約書では合計が約250万円だった例があります。差額が金利などの分割払いの費用か、別の費用かは契約書の内訳でしか分かりません。契約前に、現金での支払総額とローンでの支払総額を書面で並べて確認してください。

販売会社の選び方と見積書の見方は太陽光・蓄電池の販売店はどう選ぶ?、蓄電池・V2Hの見積書の項目は見積書チェックリストで整理しています。

一般的な情報提供です。法律の解釈や個別の契約の助言はしません。実際の契約は、契約書面と、消費生活センター(消費者ホットライン188)などの公的な窓口への相談を優先してください。

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