太陽光発電システムの「点検商法」に関する相談は、国民生活センターの集計で2024年度613件と、2017年度(57件)の10倍以上に急増しています。「点検が義務化された」「無料で点検する」と事業者が訪問し、点検後に高額な洗浄・コーティング契約を迫る手口が典型例です。

出典:国民生活センター「太陽光発電システムの点検商法が急増!」(2025年6月4日公表)

クーリング・オフでその場の契約を見直せる

「安く契約できるのはあと2件」と急かされて約300万円の契約をしてしまった相談事例に対し、国民生活センターは「特定商取引法の訪問販売に該当する場合には、契約書面を受け取った日を含む8日間はクーリング・オフを行うことが可能」と回答しています。特定商取引法では、事業者が訪問販売を行う際に、氏名(名称)、契約締結を勧誘する目的である旨、販売しようとする商品の種類を消費者に告げることが義務付けられています。

出典:国民生活センター「突然訪問されて太陽光発電設備と家庭用蓄電池を契約した」(2021年7月21日公表)国民生活センター「クーリング・オフ」

訪問販売のクーリング・オフの基本
項目内容
期間契約書面(または申込書面)を受け取った日を1日目として8日間
起算日申込書面・契約書面のいずれか早いほうを受け取った日
通知方法書面(はがき等)のほか、2022年6月1日以降は電子メール等の電磁的記録でも可能
記載事項契約年月日・契約者名・購入商品名・契約金額等、事業者が契約を特定できる情報と、通知を発した日
期間経過後書面の記載内容に不備がある場合や、事業者がクーリング・オフを妨害した場合は、期間を過ぎても可能な場合がある

期限の目安を計算する

この計算は上記の一般的なルールにもとづく目安です。書面の記載内容に不備がある場合や、申込書面・契約書面のどちらを先に受け取ったかによって実際の起算日・期限は変わることがあります。不明な場合は自分で判断せず、消費生活センター等(消費者ホットライン「188」)に相談してください。

このツールはクーリング・オフ期限計算ページでも単体で使えます。書面を受け取った日だけを入力すれば期限の目安を確認できるので、通知はがきを準備するときにブックマークしておくと便利です。

はがきで通知する場合は、送付前に両面をコピーし、「特定記録郵便」または「簡易書留」など発信の記録が残る方法で送付します。コピーや送付記録は、契約書・領収書等とあわせて少なくとも5年間保管してください。クレジット契約をしている場合は、販売会社とクレジット会社の両方に同時に通知する必要があります。

発信記録が残る郵便方法の加算料金(日本郵便、通常の郵便料金に加算)
方法加算料金特徴
特定記録+210円引受けを記録するが、配達は郵便受けへの投函で対面の受け取りではない
簡易書留+350円引受けから配達まで記録し、対面で受け取り。実損があれば賠償の対象
一般書留+480円(損害要償額10万円まで)簡易書留よりも賠償額を高く設定できる
内容証明+480円(謄本1枚目、2枚目以降+290円)書留の加算料金に加えて必要。差し出した文書の内容を郵便局が証明する

クーリング・オフの通知は、特定記録郵便または簡易書留で発信の記録を残せば足り、内容証明まで必須ではありません。ただし、事業者との間で書面の内容自体に争いが生じそうな場合は、内容証明を検討する余地があります。

通知はがきの記入例

国民生活センターや消費生活センターが公表している記載例では、はがきに次のような項目を書きます。文言や様式に厳密な決まりはありませんが、契約を特定できる情報と解除の意思を漏れなく書くことが目的です。

通知はがきに記載する項目の例
項目記載内容
宛先販売会社名(代表者名が分からない場合は「代表者様」)。クレジット契約がある場合はクレジット会社名も別のはがきで
本文契約年月日・商品名・契約金額を書いたうえで「上記の契約は解除します」という趣旨の文言
返金の請求代金を支払い済みの場合は「支払い済みの〇〇円を返金してください」という趣旨の文言
差出人契約者本人の住所・氏名
通知日はがきを発送する日付

出典:石川県消費生活支援センター「クーリング・オフ ハガキの記載例」

クーリング・オフができる取引かどうか分からない場合や、手続きの書き方が分からない場合は、自分で判断せず、消費生活センター等(消費者ホットライン「188(いやや!)」)に相談してください。施工後の雨漏りなどで相談先を整理する場合は施工不良・雨漏りの相談先も参照してください。

点検商法の相談件数の推移

点検商法に関する相談件数の推移(年度別・PIO-NET登録分)
0200400600800572017592018532019622020902021154202230420236132024
太陽光発電システムの点検商法に関する相談件数(PIO-NET登録分・年度別)
年度相談件数
2017年度57件
2018年度59件
2019年度53件
2020年度62件
2021年度90件
2022年度154件
2023年度304件
2024年度613件

相談事例では、事業者が「太陽光パネルの点検が法律で義務化された」「パネルによる火災事故が起こっている」と説明して無料点検を行い、後日「サーモモニターで確認したところ赤くなっているので洗浄とコーティングが必要」などと約40万円の契約を迫ったケース(2024年12月受付・80歳代女性)が報告されています。太陽光発電システムの点検自体は電気事業法・再エネ特措法等の関係法令にもとづく維持管理の対象になり得ますが、対象になるかはFIT・FIP制度の利用有無や出力等によって異なり、一律に「義務化された」と言い切れるものではありません。

電気事業法上の出力区分と法定点検義務の有無は太陽光発電に点検義務はある?で確認できます。なお、実際の事故件数や原因はNITEの事故データで確認できます。実際の清掃要否はパネルの汚れ・清掃で公式情報にもとづき確認できます。

家庭用蓄電池の訪問勧誘トラブルも増加

家庭用蓄電池についても、国民生活センターへの相談件数は2016年度325件から2020年度1,314件へと増加しています。「事業者の突然の訪問をきっかけに『この値段は今日限り』と契約を急かされた」「電力会社の関連会社を名乗る事業者に勧誘された」「太陽光の無料点検で訪問した事業者に蓄電池を勧誘された」といったケースが報告されています。約200万円の契約後、当初の説明と工事担当者の説明が食い違ったという相談事例もありました。

出典:国民生活センター「家庭用蓄電池の勧誘トラブルにご注意!」(2021年6月3日公表)

国民生活センターは、蓄電池のメリットだけでなく導入コストも考慮すること、必ずしも自家消費が売電より経済的に有利とは限らないこと、その場で契約せず複数社から見積もりを取り比較検討することをアドバイスしています。本サイトの国の補助金の現状のように、補助金の実際の内容は事業者の説明ではなく公式情報で確認できます。蓄電池についても、その場で契約してしまった場合は前の項目で説明したクーリング・オフが使える場合があります。

訪問を受けたときに確認すること

0 / 10 確認済み

チェック状態はこの画面内にのみ保持され、外部へ送信・保存されません。

出典:消費者庁「特定商取引法ガイド 訪問販売」消費者庁取引・物価対策課「改正特定商取引法における再勧誘禁止規定と『訪問販売お断り』等の張り紙・シール等について」(2009年12月10日)

このチェックリストは訪問販売チェックリストのページでも、チェックボックスと進捗つきで確認できます。訪問を受けている最中にこのページを開き直さず、専用ページをブックマークしておくと確認しやすくなります。

メンテナンス費用の目安として、経済産業省・調達価格等算定委員会が太陽光発電協会への聞き取りをもとに公表した資料(5kW設備を想定)では、定期点検(3〜5年に1回程度が目安)の費用は1回あたり約3.8万円、パワーコンディショナの交換費用(20年に1回程度)は約38.4万円とされています。契約書に記載された金額がこの水準から大きくかけ離れていないか確認する際の参考にできますが、実際の費用は設備の状態や依頼先によって異なります。

出典:経済産業省・調達価格等算定委員会「太陽光発電について」(2026年1月、太陽光発電協会ヒアリング結果)

本サイトは特定の施工業者・点検業者を推奨せず、卒FIT後の3つの選択肢を同じ条件で比較する試算のみを提供しています。実際に導入を検討する際は、見積もり・契約前のチェックリストを参考に複数社から見積もりを取ったうえで、卒FIT後の比較シミュレーターの試算と照らし合わせてください。設置後に生じうる近隣トラブル(反射光等)の法的責任は太陽光パネルの反射光トラブルと法的責任で整理しています。

よくある質問

Q「点検が義務化された」と言われました。本当ですか?

A太陽光発電設備の点検は電気事業法・再エネ特措法等の関係法令にもとづく維持管理の対象になり得ますが、対象になるかはFIT・FIP制度の利用有無や出力等によって異なります。「義務化された」という説明だけを理由にその場で契約する必要はなく、まずは点検の要否を確認してください。

Q訪問販売で契約してしまいました。クーリング・オフはできますか?

A特定商取引法上の訪問販売に該当する場合、契約書面を受け取った日を含む8日間はクーリング・オフができます。書面の記載内容に不備があるときは、期間を過ぎていてもクーリング・オフできる場合があります。不明な場合は消費生活センター等(消費者ホットライン188)に相談してください。

Q「今日契約すれば安くなる」「補助金でお得になる」と言われました。急いで契約すべきですか?

Aいいえ。国民生活センターは、その場で契約せず複数社から見積もりを取り比較検討するよう案内しています。補助金の実際の内容・受付状況は事業者の説明を鵜呑みにせず、公式サイトで確認してください。

Q太陽光発電の「点検商法」とはどのような手口ですか?

A「太陽光パネルの点検が法律で義務化された」「パネルによる火災事故が起こっている」などと説明して無料点検を行い、後日「洗浄とコーティングが必要」などと高額な契約を迫る手口です。国民生活センターへのこの種の相談は2024年度613件と、2017年度(57件)の10倍以上に急増しています。

本記事は国民生活センターの公表資料にもとづく一般的な情報提供です。個別のクーリング・オフの可否や手続きは消費生活センター等にご確認ください。特定の施工業者・点検業者を推奨するものではなく、個別の投資・税務助言、電気工事の設計・実施は行いません。