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燃料費調整額は、原油・液化天然ガス・石炭の平均価格が基準より高いか低いかに応じて、使った電力量にかけて加減される料金項目です。基本料金や電力量料金の単価が同じに見えるプランでも、この項目の決め方が違えば、実際の請求額は変わります。卒FIT後に買電側のプランを見直すときは、単価表だけでなく、この調整の仕組みも確かめておく必要があります。

数値は同社の低圧向けの例で、他の電力会社では基準の価格や単価が異なります。市場の価格に連動するプランは市場連動型プランの仕組み、請求額を使用量で割った実質単価の求め方は電気代の実質単価の求め方を参照してください。料金の区分そのものは従量電灯とはを参照してください。

燃料費調整額とは何か

九州電力は、火力燃料費(原油・液化天然ガス・石炭)の変動をできるかぎり迅速に電気料金に反映させる制度だと説明しています。3か月間の平均燃料価格が、2019年4月の電気料金見直しの前提となっている原油換算の燃料価格27,400円/キロリットルから変動した場合、その分に応じて電気料金を調整します。

同社の電気料金の計算式は次のとおりです。

  • 電気料金 = 基本料金 + 電力量料金 ± 燃料費等調整額 − 口座振替割引額 + 再エネ賦課金(いずれも税込)
  • 平均燃料価格が基準から上がったときはプラス、下がったときはマイナスの調整になります。

出典:九州電力「燃料費調整制度」

単価の決まり方:基準価格・基準単価・上限

同社の説明では、燃料費調整単価は次の式で毎月見直されます。

項目九州電力の説明(低圧供給の例)
平均燃料価格A×α+B×β+C×γ(100円未満は四捨五入)。Aは平均原油価格(1キロリットルあたり)、Bは平均液化天然ガス価格(1トンあたり)、Cは平均石炭価格(1トンあたり)。α・β・γは換算係数で、αは0.0053、βは0.1861、γは1.0757
プラス調整平均燃料価格が27,400円を上回るとき:(平均燃料価格 − 27,400円)× 基準単価 ÷ 1,000
マイナス調整平均燃料価格が27,400円を下回るとき:(27,400円 − 平均燃料価格)× 基準単価 ÷ 1,000
基準単価平均燃料価格が1,000円/キロリットル変動したときの電気料金単価への影響額。低圧供給は0.136円/kWh(消費税等相当額を含む)
上限特定小売供給約款では、平均燃料価格が41,100円を超えた場合は41,100円を上限価格とする。電気供給条件および需給契約条件で契約している場合は、上限値を設定しない

単価は小数点以下第3位で四捨五入されます。燃料費等調整額は、燃料費調整単価と離島ユニバーサルサービス調整単価に、それぞれ使用量をかけたものの合計です。

出典:九州電力「燃料費調整制度」

式の読み方の計算例

次の数値は、上の式に仮の平均燃料価格を入れた計算の練習で、実際の単価や将来の見込みではありません。基準単価0.136円/kWhを使います。

  • 平均燃料価格が35,000円と仮定すると、(35,000 − 27,400)× 0.136 ÷ 1,000 = 約1.03円/kWh。月250kWh使うなら約258円のプラス調整です。
  • 規制料金で上限の41,100円に達した場合は、(41,100 − 27,400)× 0.136 ÷ 1,000 = 約1.86円/kWhが調整単価の上限になります。
  • 平均燃料価格が20,000円に下がったと仮定すると、(27,400 − 20,000)× 0.136 ÷ 1,000 = 約1.01円/kWhのマイナス調整です。

上限のない契約では、燃料価格が上限の価格を超えて上がった分も、そのまま単価に反映されます。上限の有無で、価格が大きく上がった局面の請求額に差が出る点が、契約前に見る大きな違いです。

燃料価格を見る期間と請求月のずれ

燃料費調整単価は、燃料価格の実績を見る3か月の期間と、それを適用する請求月がずれています。九州電力の表では、次の組み合わせになっています。

燃料価格の実績をみる期間燃料費調整単価を適用する月分
1月1日〜3月31日6月分
2月1日〜4月30日7月分
3月1日〜5月31日8月分
4月1日〜6月30日9月分
5月1日〜7月31日10月分

たとえば10月分の電気料金には、5月〜7月の燃料価格の実績が反映されます。現在のニュースで燃料価格が動いていても、請求に出るのは数か月後になります。検針票の比較では、同じ月分どうしの単価を並べないと、見かけの差が出ます。

出典:九州電力「燃料費調整制度」

国の料金支援があるときの見方

九州電力は、2026年8月分〜10月分(2026年7月〜9月使用分)について、国の「電気・ガス料金支援」による割引単価を燃料費調整単価から差し引くと案内しています。低圧は2026年8月分・10月分が3.50円/kWh、9月分が4.50円/kWh(税込)で、申込みは不要です。同社の例では、契約電流30Aで月250kWh使う家庭の割引額は、8月分・10月分が875円、9月分が1,125円です。

支援の期間が終わると、その分は差し引かれなくなります。プランを比べる時期が支援の期間内か外かで、見かけの請求額が変わる点に注意してください。

出典:九州電力「燃料費調整制度」

契約前に確認する項目

以下は、上記の公式の説明から導いた確認項目です。個別のプランは事業者ごとに異なるため、約款や料金表で確かめてください。

確認項目見る場所理由
基準となる燃料価格と基準単価料金表・約款基準が違えば、同じ燃料価格でも調整額が変わる
上限の有無約款・重要事項説明上限がないと、燃料価格が大きく上がった月の単価がそのまま反映される
調整の対象に市場価格が入るか料金表・約款燃料価格のほかにスポット市場価格を反映するプランもある
比較の試算に燃料費調整額が含まれるかシミュレーションの注記含まれないと、実際の請求とずれる
国の料金支援の扱い案内ページ支援の期間内かどうかで見かけの金額が変わる

試算の前提となる使用量は、検針票やスマートメーターの記録で確かめられます。売電と買電を合わせた年間の差額の試算は卒FIT比較シミュレーターで行えますが、燃料費調整額の将来の変動は反映していません。買電契約を切り替える手続きは電気の購入契約プランを切り替える手続きで整理しています。

燃料費調整額とは別に、電気料金に含まれる託送料金も2026年11月に改定される予定です。内容は託送料金の2026年11月改定と電気料金への影響で確認できます。

まとめ

  • 燃料費調整額は、原油・液化天然ガス・石炭の平均価格が基準より高いか低いかに応じて、使用量にかけて加減されます。
  • 九州電力の例では、基準価格は27,400円、低圧の基準単価は0.136円/kWh。規制料金には41,100円の上限があり、電気供給条件などの契約には上限がありません。
  • 燃料価格を見る期間と請求月は3か月前後ずれます。
  • 契約前に、基準、上限の有無、市場価格の反映、試算への含まれ方を、約款と料金表で確かめます。

大手電力の規制料金と自由料金の違いは経過措置料金(規制料金)と自由料金の違いで整理しています。

よくある質問

Q燃料費調整額は、いつの燃料価格で決まりますか?

A九州電力の説明では、3か月間の平均燃料価格をもとにします。たとえば1月1日〜3月31日の実績は6月分の電気料金に、5月1日〜7月31日の実績は10月分に適用されます。燃料価格を見る期間と請求月にはずれがあります。

Q燃料費調整額には上限がありますか?

A九州電力の場合、特定小売供給約款(規制料金)では平均燃料価格41,100円を上限価格としています。一方、電気供給条件および需給契約条件で契約している場合は、上限値を設定していません。上限の有無は契約の種類と事業者ごとに異なるため、検討中のプランの約款や料金表で確かめてください。

Q燃料費調整額と市場連動型プランは同じ仕組みですか?

A同じではありません。燃料費調整は、原油・液化天然ガス・石炭の貿易統計上の平均価格をもとに毎月の単価を調整する制度です。市場連動型プランは、日本卸電力取引所(JEPX)のスポット市場の価格に連動させるプランで、仕組みの違いは別の記事で整理しています。

基準価格・単価・上限は事業者と契約の種類ごとに異なり、将来の電気代を保証するものではありません。個別のプランの内容は、契約を検討する小売電気事業者の約款・料金表でご確認ください。