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太陽電池モジュールは、温度が上がると変換効率が下がり、出力が低下します。その低下の度合いを表す指標が「出力温度係数」です。

夏の晴れた日に発電量が思ったほど伸びない理由の一つがこの特性です。以下では、建築研究所の計算方法の数値でパネル温度ごとの出力の目安を計算します。

出典:パナソニック「シリコン系太陽電池モジュールの出力温度係数で量産レベルとして世界最高水準の『-0.258%/℃』を達成」(2017年5月24日)

温度が上がると出力が下がることは、測定でも確認されている

産業技術総合研究所(産総研)と佐賀大学の研究ポスターは、結晶シリコン系太陽電池モジュールの温度特性を室内で測定しています。測定は15℃〜31℃の範囲で行われ、最大電力・開放電圧・効率は温度に対して線形(直線的)に減少したと報告されています。

ポスターは多結晶シリコンの240Wモジュールを対象にした研究報告で、お住まいの機種の数値を示すものではありません。出力が温度に比例して下がるという性質の確認として読んでください。

出典:産総研・佐賀大学「結晶シリコン系太陽電池モジュールの温度係数評価」(研究ポスター)

建築研究所の計算方法にある温度補正係数

建築研究所が公開する住宅の省エネルギー計算方法の「太陽光発電設備」の章(Ver.13・2026年10月版)は、住宅用太陽光発電設備の1時間あたりの発電量を計算する式を示しています。温度補正係数は「1+最大出力温度係数×(モジュール温度−25℃)」で求め、結晶シリコン系の最大出力温度係数は−0.0041(1℃あたり0.41%減)とされています。

式の基準温度は25℃で、パネル温度が25℃を超えた分だけ、出力が一定の割合で下がる計算になります。

建築研究所の計算方法にある補正係数の値(結晶シリコン系)
補正係数値意味
日陰補正係数1.0日陰がないときの発電量に対する、日陰があるときの比
経時変化補正係数0.96モジュール表面の汚れ・劣化、反射などによる低下
アレイ負荷整合補正係数0.94出力が最適な動作点からずれることによる低下
アレイ回路補正係数0.97配線の抵抗損失などによる低下
インバータ回路補正係数パワーコンディショナの定格負荷効率×0.97定格負荷効率は0.927とするか、測定値を使う

出典:建築研究所「第九章 自然エネルギー利用設備 第一節 太陽光発電設備」(Ver.13)

パネル温度別の出力の目安を計算する

上の係数を掛け合わせた「総合設計係数」を計算します。温度補正係数以外の係数は、結晶シリコン系でパワーコンディショナの定格負荷効率が0.927の場合、0.96×0.94×0.97×(0.927×0.97)≒0.787です。

これに温度補正係数を掛け、システム容量5kW・日射量800W/㎡の1時間で試算した結果が次の表です。式は「システム容量÷1kW/㎡×日射量×総合設計係数」で、日射量の単位換算を含めると5×0.8=4.0に係数を掛けた値になります。

パネル温度別の温度補正係数と1時間の発電量(計算例)
パネル温度温度補正係数総合設計係数1時間の発電量25℃との差
25℃1.0000.787約3.15kWh基準
45℃0.9180.723約2.89kWh約8%減
60℃0.8570.674約2.70kWh約14%減
75℃0.7950.626約2.50kWh約21%減

同じ日射量でも、パネル温度が60℃になると25℃のときより出力は約14%小さくなる計算です。

パネルの実際の温度は、外気温・日射・風通し・設置方法で変わります。建築研究所の計算方法はこの温度を別の式で求めますが、本記事では温度を仮に置いた計算にとどめています。

メーカーのカタログ値は標準値と違うことがある

計算方法が結晶シリコン系の標準として定めた値は、個々の製品の値と同じとは限りません。パナソニックの公式発表は、一般的なシリコン系の出力温度係数を太陽光発電協会の表示ガイドラインの参考値(−0.50%/℃)と引用したうえで、自社のモジュールで−0.258%/℃を達成したと発表しています。

発表の時点は2017年5月で、現在販売されている機種の値ではありません。お手持ちのパネルの値は、型式を確認してメーカーの仕様書で見てください。値が小さいパネルほど、高温時の低下は小さくなります。

発電量が減ったと感じたときの見方

夏の高温による低下は、発電量が減る一因として説明できます。それでも前年の同じ月より明らかに減っているときは、天候・影・汚れ・エラー表示を切り分けます。

手順は太陽光の発電量が減った?前年同月比較で確認にあります。

温度以外に発電量を左右する要素は、影の影響、方位・角度、パネルの汚れ、曇り・雨の日の発電の各記事で整理しています。

年間の売電収入や自家消費の見通しは、当サイトの卒FIT後の比較シミュレーターで試算できます。

よくある質問

Q夏は日差しが強いのに、なぜ発電量が伸びにくいのですか?

A太陽電池モジュールは温度が上がると出力が下がる性質があるためです。パナソニックの公式発表は、モジュールは温度が上昇すると変換効率が低下して出力が低下し、その度合いを表した指標が出力温度係数だと説明しています。日射量の増加と温度による低下が同時に起きるため、夏でも発電量が日射量どおりには増えません。

Q温度による出力の低下は、故障や劣化のサインですか?

A本記事で確認できた範囲では、温度による出力低下は結晶シリコン系太陽電池モジュールの一般的な特性として扱われています。産総研の測定ポスターでも、最大電力は温度に対して線形に減少すると報告されています。一方で、前年の同じ月と比べて発電量が大きく減っている場合は温度以外の要因もありえるため、前年同月の比較で切り分ける手順は別記事で整理しています。

Q出力温度係数はどこで確認できますか?

A太陽電池モジュールの出力温度係数は、メーカーのカタログや仕様書に記載される項目です。パナソニックの公式発表では、一般的なシリコン系の値として太陽光発電協会の表示ガイドラインの参考値(-0.50%/℃)を引用し、自社モジュールの値と比べています。お手持ちのパネルの値は、製品型式を確認したうえでメーカーの資料で確認してください。

本記事は一般的な情報提供です。表の数値は建築研究所の計算方法に載る標準値による計算例で、お住まいの太陽光発電設備の実際の発電量を示すものではありません。パネルの出力温度係数は製品ごとに異なるため、メーカーの資料や見積もりで確認してください。特定の施工業者・製品を推奨するものではなく、電気工事の設計・実施は行いません。