太陽光パネルの表面はほとんどが滑らかなガラスで、雪止めがあっても、気象条件によっては雪が滑り落ちます。一度滑り始めると、想像以上に遠くまで大量の雪が飛ぶ可能性があると、太陽光発電協会(JPEA)は注意を呼びかけています。
雪止めがあっても起きる落雪
JPEAの注意喚起によると、屋根に雪止め工事等の対策が施されていても、その日の気象条件によっては雪が滑り落ちてくることがあります。
普段より多くの雪が降った時や、天候が回復して雪が融け始める時は、屋根の下に車を止めたり、不用意に軒下へ立ち入ったりしないよう求めています。
積雪地域には、時々積雪する地域も含まれます。こうした地域の住宅屋根では、落雪事故を未然に防ぐ処置が必要だと書かれています。具体的な対策は、設置業者・工務店・屋根工事店への相談が案内されています。
JPEAが挙げる落雪トラブル5件
| 被害を受けたもの | JPEAの記載 |
|---|---|
| 車 | 落ちた雪で車の屋根がへこんだ |
| 隣家の庭 | 勢いよく落ちた雪で植木を折った |
| 屋外の設備 | 大量の雪が滑り落ち、給湯器などを壊した |
| テラス | 落ちた雪でテラスの屋根が壊れた |
| 人 | 滑り落ちた雪が子供に当たり、けがをした |
隣家や隣接する敷地に雪が落ちた場合は、近隣トラブルに発展する事例も報告されているとのことです。
出典:JPEA「太陽電池パネルからの落雪事故防止について」(2015年12月22日付・十日町市掲載版)。JPEAの原本URLは確認時点で取得できなかったため、自治体掲載版を参照しています。
パネル上の雪下ろしを避ける理由
JPEAは、パネル上での雪下ろしは足元が滑りやすく、パネルを破損するおそれがあるため行わないよう求めています。
やむを得ず雪下ろしが必要な場合は、太陽光発電システムに詳しい専門業者に相談するよう案内されています。破損したパネルへの対応は記事「太陽光パネルのガラスが割れたら使い続けてよい?」で整理しています。
雪国の年間発電量の目安
環境省東北地方環境事務所の資料は、パネルの表面が雪で覆われている間は発電量が低下するが、年間発電量は冬季の発電量だけで決まるものではない、と説明しています。
国のZEH補助事業の実績データでは、東北6県の住宅で、パネル1kWあたり年間おおむね1,000〜1,200kWh程度の発電実績が確認されています。県別では、秋田県が約1,011kWh、福島県が約1,184kWhで、福島県は東京都とほぼ同水準とされています。
同資料は、パネルの温度が高くなると出力が下がる性質にも触れており、夏の気温が比較的低い地域では高温による効率低下が抑えられる場合があるとしています。
この数値は、ZEH補助事業を受けた住宅の実績で、実際の発電量は設置場所・設備仕様・その年の天候で変わります。冬の発電量が何%減るかを示す公的な数値は、本記事の確認時点では見つけられていません。
出典:環境省 東北地方環境事務所「雪国における太陽光発電」(元データは環境共創イニシアチブ「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス実証事業調査結果(2025年版)」)
導入前に確認すること
同資料は、販売・施工事業者に年間発電量のシミュレーションを依頼し、積雪の影響、日射量、屋根の方位・傾斜、周辺の影、設備仕様などの前提条件を確認するよう求めています。
積雪地域では、屋根の耐荷重、積雪荷重、落雪、雪庇(屋根の端から張り出す雪の庇)、パネル下部への雪の堆積を考慮した設計・施工が必要とも書かれています。
荷重や風雪への設計上の備えは太陽光発電の台風・大雪・落雷対策、屋根の構造は屋根適性のガイド、見積もり時の説明の確認は販売店のチェックリストで確認できます。
落雪が隣地に及んだ場合の責任は、個別の事情で変わります。近隣の反射光トラブルの裁判例は反射光トラブルの法的責任が参考になります。卒FIT後の年間収支は、当サイトの卒FIT後の比較シミュレーターで試算できます。
よくある質問
Q雪止めを付ければ、パネルからの落雪は防げますか?
A完全には防げません。JPEAは、屋根に雪止め工事等の対策が施されている場合でも、その日の気象条件によっては雪が滑り落ちる可能性があると説明しています。
Qパネルの上に積もった雪は、自分で下ろしてよいですか?
AJPEAは、パネル上での雪下ろしは足元が滑りやすく、パネルを破損するおそれがあるため行わないよう求めています。やむを得ない場合は、設置業者・工務店・屋根工事店など太陽光発電に詳しい専門業者に相談するよう案内しています。
Q雪の多い地域では、太陽光発電は発電量が大きく減りますか?
A一概には言えません。環境省東北地方環境事務所は、雪で覆われている間は発電量が低下するものの、年間発電量は冬季だけでは決まらないと説明しています。東北6県の住宅では、1kWあたり年間おおむね1,000〜1,200kWh程度の実績が確認されています。ただし、これはZEH補助事業を受けた住宅の実績データで、実際の発電量は設置条件や天候で異なります。
本記事は一般的な情報提供です。屋根や高所での作業は危険です。落雪の恐れがあるときは、軒下に近づかないでください。特定の施工業者・製品を推奨するものではなく、電気工事・屋根工事の設計・実施には関与しません。