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国は住宅用太陽光(10kW未満)のシステム費用を25.5万円/kWと想定していますが、2025年に設置された新築案件の平均は28.9万円/kWで、想定値を上回りました。卒FIT後の売電価格は、想定値が10.0円/kWh、買取メニューの実績は平均10.0円・中央値9.5円/kWhです。
数字の出どころは、経済産業省の調達価格等算定委員会が令和8年2月5日にまとめた意見と、令和8年度以降の調達価格等の別紙です。制度の価格を決めるための前提で、個々の家庭の費用や収支ではありません。
国の想定値と直近の実績の比較
委員会は、毎年、設置費用や発電の実績を確認して、次の年度の想定値を決めます。令和8年度(2026年度)の想定値と、意見に書かれた直近の実績を並べます。
| 項目 | 国の想定値(2026年度) | 直近の実績・確認結果 |
|---|---|---|
| システム費用 | 25.5万円/kW | 2025年設置の新築案件で平均28.9万円/kW(中央値29.4万円/kW) |
| 運転維持費 | 0.30万円/kW/年(3,000円) | 定期報告の平均1,045円/kW/年。ヒアリングから換算すると約5,740円/kW/年 |
| 設備利用率 | 13.7% | シングル発電案件の平均14.1%(2025年1〜8月)。過去4年間の平均は14.2% |
| 余剰売電比率 | 70.0% | シングル発電案件で平均64.8%、中央値60.7%(2025年1〜8月) |
| 調達期間終了後の売電価格 | 10.0円/kWh | 買取メニューの平均10.0円/kWh、中央値9.5円/kWh(2025年12月時点) |
出典:経済産業省 調達価格等算定委員会「令和8年度以降(2026年度以降)の調達価格等について 別紙1」、同「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」(令和8年2月5日)
設備利用率と余剰売電比率は、想定値と実績が近く、委員会は想定値を据え置いています。システム費用は実績が想定値より高く、運転維持費は2つの見方で大きく異なります。次の節から順に見ます。
システム費用:想定値より実績が高い
意見では、住宅用太陽光のシステム費用は、新築も既築もやや低下傾向にあり、2023年度以降はやや増加傾向にあるとされています。
新築案件の2025年設置の平均値は28.9万円/kW(中央値29.4万円/kW)です。2024年設置より0.2万円/kW(0.6%)、2023年設置より0.5万円/kW(1.9%)増えました。平均値の内訳は、太陽光パネルが約47%、工事費が約29%です。
委員会は、上位30%のトップランナー水準にも着目しており、その水準は25.6万円/kWで、想定値の25.5万円/kWと概ね同水準でした。
5kWの設備にあてはめると、想定値で127.5万円、2025年設置の新築の平均値で144.5万円です(当サイトの掛け算)。実際の見積りは、屋根の形や設置方法で変わります。見積書の見方は販売店の見積りの確認で整理しています。
出典:経済産業省 調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」(住宅用太陽光発電のコスト動向)
運転維持費:定期報告とヒアリングで差がある
2025年設置案件の定期報告データの平均は1,045円/kW/年で、想定値(3,000円/kW/年)を下回りました。ただし、意見には、定期報告データの88%が0円/kW/年で、点検や修繕の費用が発生していない案件が多い可能性がある、との注記があります。
一方、委員会は太陽光発電協会へのヒアリングも行っています。5kWの設備を想定した結果は次のとおりです。
- 定期点検は、3〜5年ごとに1回程度が推奨され、1回あたりの費用の相場は約3.8万円程度(前年度のヒアリングでは約4.1万円程度)。
- パワコンは、20年間で一度は交換され、38.4万円程度が一般的な相場(前年度のヒアリングでは42.3万円程度)。
意見は、これを1kWあたりの年間運転維持費に換算すると約5,740円/kW/年となり、2025年度の想定値(3,000円/kW/年)を上回ったと述べています。委員会は、点検費用やパワコン本体の費用の動向を今後も注視するとしています。
パワコンの交換の時期と手続きは、パワコンの交換時期とパワコン交換とFIT手続きで確認できます。
出典:経済産業省 調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」(運転維持費)
卒FIT後の売電価格:想定値10.0円、中央値9.5円
調達期間終了後の売電価格は、各小売電気事業者が公表している買取メニューの売電価格をもとに設定されてきました。2025年12月時点で確認できたメニューの売電価格は、平均10.0円/kWh、中央値9.5円/kWhです。前回の2024年12月末時点の中央値も9.5円/kWhでした。
委員会は、10円/kWh水準以上のメニューには、電気供給とのセット販売や蓄電池の併設などの条件付きのものが比較的多いとして、状況を注視する必要があると述べています。2026・2027年度の想定値は、昨年度の10.0円/kWhのまま据え置かれました。
この10.0円/kWhは、特定の事業者の買取単価ではありません。自分の契約先の単価は、契約先の公表メニューで確認します。事業者別の一覧は卒FITの買取単価の比較、全体の流れは卒FITとはにあります。
出典:経済産業省 調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」(調達期間終了後の売電価格)、同 別紙1
この数字を読むときの注意
- 想定値は、新しく認定を受ける設備のFIT調達価格を決めるための前提です。すでに設置した設備の買取価格や費用を決めるものではありません。
- システム費用の実績は新築案件の値です。既築案件の値は、この記事では扱っていません。
- 設置年が違う費用は、同じ表の中で比べにくいので、年を確認してから使います。
- 自宅の発電量と自家消費の割合は、屋根の向きや暮らし方で変わります。年間発電量と売電量の目安と自家消費率とはで確認できます。
自宅の条件で確かめる手順
- 設置時の契約書や見積書で、システムの容量(kW)と総額を確認し、1kWあたりの額を出します。
- 検針票または会員サイトで、直近12か月の売電量と買電量を確認します。
- 契約先の買取メニューの単価と条件(電気の契約とのセット、蓄電池の有無)を確認します。
- パワコンや点検の費用は、販売店や保守業者の見積りで確認します。
- 売電と自家消費を組み合わせた比較は、卒FIT比較シミュレーターで行えます。
まとめ
- システム費用の想定値は25.5万円/kWで、2025年設置の新築の平均は28.9万円/kWでした。
- 運転維持費は、定期報告では平均1,045円/kW/年、ヒアリングからの換算では約5,740円/kW/年と、見方で大きく違います。
- 卒FIT後の売電価格の想定値は10.0円/kWhで、買取メニューの実績は平均10.0円・中央値9.5円です。
- 国の想定値は制度の前提で、自宅の費用や収支は見積書と検針票で確かめます。
よくある質問
Q住宅用太陽光のシステム費用の、国の想定値はいくらですか?
A調達価格等算定委員会の令和8年度以降の想定値は、10kW未満で25.5万円/kWです。2025年に設置された新築案件の実績は、平均28.9万円/kW、中央値29.4万円/kWで、想定値を上回りました。
Q卒FIT後の売電価格について、国はいくらを想定していますか?
A調達期間終了後の売電価格の想定値は、2026・2027年度とも10.0円/kWhです。2025年12月時点で小売電気事業者が公表している買取メニューの売電価格は、平均10.0円/kWh、中央値9.5円/kWhでした。
Qパワコンの交換費用はどれくらいと説明されていますか?
A委員会が太陽光発電協会に行ったヒアリングでは、5kWの設備を想定して、パワコンは20年間で一度は交換され、38.4万円程度が一般的な相場とされています。点検は3〜5年ごとに1回程度が推奨され、1回あたり約3.8万円程度です。
Qこの想定値は、自分の家の費用や収支としてそのまま使えますか?
Aそのままは使えません。国の想定値は制度の価格を決めるための前提で、個々の家庭の見積りや発電量とは違います。自宅の判断には、見積書と検針票の値を使います。
本記事は経済産業省の公表資料にもとづく一般的な情報提供で、投資・税務の助言や特定の事業者・製品の推奨ではありません。表の値は国の想定値と調査結果で、個々の家庭の費用や収支とは異なります。購入や設置の判断は、見積書と契約先の案内を優先してください。