目次

蓄電池の補助金は、申請の期限や金額に目が行きがちですが、見積もりの蓄電池が対象製品の条件を満たしていなければ、補助は受けられません。国の地域脱炭素移行・再エネ推進交付金の実施要領では、家庭用蓄電池に、初期実効容量1.0kWh以上、安全規格への適合、保証10年以上などの条件が定められています。

この交付金を使う自治体の補助は、この条件を引き継いでいることがあります。高知市と大垣市が公表している実施要領の抜粋をもとに、契約前に見積書で確かめる項目を並べます。

この条件が使われる補助金と、使われない補助金

高知市が参考資料として公表している文書は、地域脱炭素移行・再エネ推進交付金の実施要領の別紙のうち、重点対策加速化事業の交付対象を抜粋したものです。大垣市の令和8年度の資料にも、同じ内容が「実施要領より抜粋」と注記されて載っています。

したがって、この記事の条件は、この交付金を財源にする自治体の補助に当てはまる可能性がある条件です。国のほかの補助金や、交付金を使わない自治体の補助には、別の条件が定められていることがあります。国の補助金がいま使えるかは国の補助金の現状の記事、国・都道府県・市の受付状況は補助金の比較の記事で見られます。

出典:高知市「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金 実施要領 別紙2(一部抜粋)」、大垣市「蓄電池の仕様」(令和8年度)

家庭用蓄電池の製品条件の一覧

両市の資料に共通して載っている、家庭用蓄電池の条件は次のとおりです。

項目条件の内容
蓄電池パッケージ蓄電池部(初期実効容量1.0kWh以上)とパワーコンディショナー等の電力変換装置から成るシステム全体を一つのパッケージとして扱い、システム全体を管理する番号が付いていること
性能表示初期実効容量、定格出力、出力可能時間、保有期間、廃棄方法、アフターサービスなどの所定の表示があること
蓄電池部の安全基準JIS C 8715-2またはIEC 62619を満たすこと
蓄電システム部の安全基準リチウムイオン蓄電池部を使う場合、JIS C 4412を満たすこと
震災対策基準リチウムイオン蓄電池部を使い、蓄電容量が10kWh未満の場合、第三者認証機関の製品審査に合格していること
保証期間メーカー保証とサイクル試験による性能の双方が10年以上であること

出典:高知市「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金 実施要領 別紙2(一部抜粋)」、大垣市「蓄電池の仕様」(令和8年度)

容量と性能表示:初期実効容量の見方

容量の条件は、カタログに大きく書かれている蓄電容量ではなく、初期実効容量で見られます。資料では、JIS C 4413で定義された初期実効容量のうち、計算値と計測値のいずれか低いほうを適用するとされています。

初期実効容量は、工場出荷時の蓄電システムが放電するときに供給できる交流側の出力容量です。使用者が独自に指定できない領域は含みません。この値が1.0kWh未満の蓄電システムは対象外です。

性能表示では、廃棄方法とアフターサービスも条件です。使用済み蓄電池を適切に廃棄または回収する方法と、国内のアフターサービス窓口の連絡先が、添付書類に明記されている必要があります。容量の種類の違いは定格容量と初期実効容量の違いの記事で説明しています。

出典:高知市「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金 実施要領 別紙2(一部抜粋)」、大垣市「蓄電池の仕様」(令和8年度)

安全規格と震災対策基準の読み方

安全の条件は、蓄電池部とシステム全体で別々に決まっています。型番ごとにどの規格に適合しているかは、メーカーの書類で確かめます。

対象規格・基準補足
蓄電池部JIS C 8715-2またはIEC 62619どちらかを満たせばよい
蓄電システム部(リチウムイオン)JIS C 4412電気製品認証協議会が定める適用の猶予期間中は、JIS C 4412-1またはJIS C 4412-2も可。JIS C 4412-2の解釈は「電気用品の技術基準の解釈 別表第八」に準拠
震災対策(リチウムイオン、10kWh未満)「蓄電システムの震災対策基準」の製品審査に合格第三者認証機関は、電気用品安全法の国内登録検査機関で、IECEE-CB制度に基づく国内認証機関(NCB)であること

震災対策基準が求められるのは、資料の書き方では蓄電容量10kWh未満のリチウムイオン蓄電システムです。見積もりの蓄電池が10kWh未満なら、適合を示す書類があるかを契約前に事業者へ尋ねておくと安心です。

出典:高知市「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金 実施要領 別紙2(一部抜粋)」、大垣市「蓄電池の仕様」(令和8年度)

保証の条件:メーカー保証と販売店保証は別

保証の条件は、メーカー保証とサイクル試験による性能の双方が10年以上であることです。当該機器の製造事業者以外の保証、つまり販売店の独自保証は含まれません。

メーカー保証の期間内の補償費用は無償であることも条件です。保証期間と寿命の関係は、蓄電池の寿命の記事で説明しています。

出典:高知市「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金 実施要領 別紙2(一部抜粋)」、大垣市「蓄電池の仕様」(令和8年度)

製品以外の交付要件と、家庭用と業務用の境目

高知市の抜粋には、製品の条件のほかに、蓄電池の交付要件が書かれています。太陽光発電設備の付帯設備であること、原則として再エネ発電設備で発電した電気を蓄電し、平時に充放電を繰り返す設備であること、停電時のみに使う非常用予備電源でないことです。

価格については、家庭用で1kWhあたり12.5万円以下(工事費込み・税抜き)の蓄電システムとなるよう努めることとされています。上限ではなく「努めること」と書かれている点に注意が必要です。

家庭用と業務用の境目は、資料によって書き方が違います。高知市は家庭用を「20kWh以下」、業務用を「20kWh超」とし、大垣市は家庭用を「20kWh未満」と書いています。業務用の蓄電池は、各地方公共団体の火災予防条例で定める安全基準の対象となる蓄電システムであることが条件で、届出の手続きは消防署への設置届の記事で説明しています。

出典:高知市「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金 実施要領 別紙2(一部抜粋)」、大垣市「蓄電池の仕様」(令和8年度)

見積もりを受け取ったときのチェックリスト

0 / 6 確認済み

チェック状態はこの画面内にのみ保持され、外部へ送信・保存されません。

対象製品の条件を満たす蓄電池を付けた場合の収支は、当サイトの卒FIT比較シミュレーターで、売電を続ける場合との差を概算できます。

よくある質問

Q蓄電池の補助金を受けるには、どんな蓄電池でもよいのですか?

Aよくありません。高知市と大垣市が公表している国の交付金の実施要領の抜粋では、家庭用蓄電池に初期実効容量1.0kWh以上、安全規格への適合、保証10年以上などの製品条件が定められています。実際の補助の対象は申請先の自治体の公募要領で決まるため、契約前に確認が必要です。

Q初期実効容量とは何ですか?

A製造業者が指定する、工場出荷時の蓄電システムの放電時に供給できる交流側の出力容量のことです。使用者が独自に指定できない領域は含まず、算出方法はJIS C 4413を参照すると資料に書かれています。計算値と計測値のうち低いほうが適用されます。

Q震災対策基準はすべての蓄電池に必要ですか?

A資料では、リチウムイオン蓄電池部を使用した蓄電システムのうち、蓄電容量が10kWh未満のものに求められています。第三者認証機関の製品審査に合格していることが条件で、10kWh以上の蓄電池には、この資料では震災対策基準の条件は書かれていません。

Q販売店の10年保証だけで条件を満たしますか?

A満たしません。資料では、メーカー保証とサイクル試験による性能の双方が10年以上であることが条件で、当該機器の製造事業者以外の保証(販売店保証等)は含めないと書かれています。メーカー保証期間内の補償費用は無償であることも条件です。

Q20kWhちょうどの蓄電池は家庭用ですか、業務用ですか?

A資料によって書き方が違います。高知市の資料は家庭用を「20kWh以下」、大垣市の資料は「20kWh未満」と書いています。境目の容量の製品は、申請先の自治体に区分を確認してください。

本記事は一般的な情報提供で、補助金の受給可否や製品の適合を判断するものではありません。対象製品の条件は補助金ごと・年度ごとに異なるため、申請先の自治体の公募要領とメーカーの書類に必ずご確認ください(特定の事業者・製品を推奨するものではありません)。

あわせて読みたい関連記事