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電気を買っている小売電気事業者が事業を廃止する場合、事業者は廃止しようとする日の60日前(一定の場合は90日前)までに、契約者へ知らせなければなりません。2018年の国民生活センターと電力・ガス取引監視等委員会の資料は、契約先が撤退しても急に停電になることはないとしていますが、無契約状態にならないよう、通知を受けたら早めに切替先を決めて申し込むことが求められています。卒FITで売電先や電気の購入先を新電力に切り替えた家庭では、その会社が撤退する可能性に備えて、通知を受けたときの流れを知っておくと慌てずに済みます。

本記事が扱うのは、電気を「買う」契約を結んでいる小売電気事業者が撤退する場合です。余剰電力の買取契約が終わる場合の手続を定めた規定は、確認できていません。買取先そのものを変える手続きは卒FITの買取先を変更する手続きで整理しています。

事業廃止の前に義務づけられている契約者への周知と届出

電気事業法第2条の8は、小売電気事業者の事業の休止・廃止について次のように定めています。

  • 事業を休止・廃止したときは、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出る(第1項)。
  • 事業を休止・廃止しようとするときは、経済産業省令で定めるところにより、あらかじめ、小売供給の相手方(契約者)に周知させる(第3項)。

出典:e-Gov法令検索「電気事業法」第2条の8

契約廃止の周知は60日前まで、90日前までとなる場合もある

電気事業法施行規則第3条の11は、事業を休止・廃止しようとする日の前日から起算して60日前の日までに、契約者へ適切に周知することを求めています。契約電力が50キロワット以上の小売供給契約を締結している場合、または契約者の数が1万以上である場合は、90日前の日までです。

周知の方法は、訪問、電話、書面の送付(郵便・信書便・電報など)、電子メールの送信、ファイルに記録した情報をインターネット経由で閲覧に供する方法のいずれかです。

条件周知の期限
原則廃止しようとする日の前日から起算して60日前の日まで
契約電力50キロワット以上の契約がある、または契約者が1万以上同じく90日前の日まで

出典:e-Gov法令検索「電気事業法施行規則」第3条の11

契約が廃止されても電気は止まるのか:最終保障供給

電気事業法第2条は、小売電気事業者などから小売供給を受けていない一般の需要(離島などを除く)に応じて電気の供給を保障するための電気の供給を「最終保障供給」と定義しています。同法第17条第3項は、一般送配電事業者が正当な理由がなければ最終保障供給を拒んではならないと定め、第20条は、供給条件を最終保障供給約款で定めるとしています。

最終保障供給が、撤退の通知を受けた家庭の受け皿として使われるかどうかは、本記事の確認範囲では確認できていません。供給条件は約款で別に定められており、通常の小売契約と同じとは限りません。具体的な条件は、管内の一般送配電事業者が公表する約款で確認してください。

2018年の国民生活センターと電力・ガス取引監視等委員会の資料は、契約先が撤退しても急に停電になることはないとしています。ただし、一般送配電事業者からの通知の後は供給が停止されることがあるため、無契約状態にならないよう早めに切替えるよう求めています。契約中の電力会社が契約を解除する場合は、契約解除日を明示した通知が事前に行われるのが原則とされています。

出典:e-Gov法令検索「電気事業法」第2条・第17条・第20条

切替えに必要な手続きと情報

2018年に国民生活センターと電力・ガス取引監視等委員会が出した資料は、撤退に伴う切替えでは、新しく契約する電力会社に申し込めば原則として手続が完了し、現在の電力会社との解約手続は新しい電力会社が代行すると説明しています。

同じ資料は、切替手続に必要な情報として、契約名義、住所、顧客番号、供給地点特定番号の4つを挙げています。これらは契約時に交付された書面や検針票、請求書に記載されている例が多いとされています。

出典:国民生活センター・電力・ガス取引監視等委員会「電力の小売全面自由化が始まって2年が経過しました」(平成30年6月13日)

切替先の選び方や手続きの期間は電気の購入契約プランを切り替える手続きを参照してください。市場価格に連動するプランを候補にする場合は市場連動型プランの仕組みと契約前の確認点もあわせて確認します。

撤退の動きが増えたときの制度の見直し

2022年12月6日、電力・ガス取引監視等委員会は、電力市場価格の高騰などで小売電気事業者が持続可能な事業運営を行うことの難しさが顕在化し、撤退等が増加しているとして、需要家の保護や社会的負担の抑制のため、事業開始時・開始後・撤退時の3段階で制度的措置を図るよう経済産業大臣に建議したと公表しました。

建議の具体的な措置の内容と現在の運用は、本記事の確認範囲では整理していません。撤退の通知を受け取ったときは、電気事業法の条文だけでなく、通知に書かれた期限と手続きを優先して確認してください。

出典:電力・ガス取引監視等委員会「小売電気事業に関する制度的措置について経済産業大臣に建議しました」(令和4年12月6日)

通知を受けたら確認する項目

  • 通知に書かれた廃止の予定日と、切替えの期限
  • 買取契約(余剰電力の売電)がある場合、その終了時期と精算の取り扱い
  • 検針票などに記載された、お客様番号と供給地点特定番号
  • 切替先の料金の内訳と試算条件、違約金の有無

売電と買電を合わせた年間の収支は卒FIT比較シミュレーターで確認できます。

まとめ

  • 小売電気事業者は事業を廃止しようとするとき、あらかじめ契約者に周知し、廃止後は遅滞なく経済産業大臣へ届け出る必要があります(電気事業法第2条の8)。
  • 周知の期限は廃止しようとする日の60日前、契約電力50キロワット以上の契約がある場合や契約者が1万以上の場合は90日前です(施行規則第3条の11)。
  • 最終保障供給は一般送配電事業者が正当な理由なく拒めない仕組みで、供給条件は約款で定められています(電気事業法第17条・第20条)。
  • 切替えは新しい電力会社に申し込むのが基本で、余剰電力の買取契約の扱いは契約書と事業者への確認が必要です。

よくある質問

Q契約中の電力会社が撤退すると、電気は止まりますか?

A2018年の国民生活センターと電力・ガス取引監視等委員会の資料は、撤退する場合でも急に停電になることはないとしています。一方で、一般送配電事業者からの通知の後は供給が停止されることがあるため、無契約状態にならないよう早めに切替えるよう求めています。電気事業法には、小売供給を受けていない一般の需要に応じる最終保障供給の仕組みがありますが(同法第2条・第17条第3項)、家庭の受け皿になるかどうかは本記事では確認できていません。通知に記載された期限を優先して確認してください。

Q切替えるとき、撤退する電力会社に解約の連絡は必要ですか?

A2018年の国民生活センターと電力・ガス取引監視等委員会の資料では、新しく契約する電力会社に申し込めば原則として手続が完了し、現在の電力会社との解約手続は新しい電力会社が代行するため、消費者が直接連絡する必要は原則ないとされています。契約中の会社へ連絡がつかない場合に切替先の会社から供給地点特定番号を確認できることも、同資料に書かれています。

Q撤退する電力会社に余剰電力を売っている場合、買取契約はどうなりますか?

A本記事で確認できた条文と公表資料は、電気を供給する側の契約(小売供給)についての規定や注意喚起で、余剰電力の買取契約が終了する場合の手続を定めたものは確認できていません。買取契約書や通知の記載を確認し、契約中の事業者に買取の終了時期と精算の取り扱いを問い合わせてください。

本記事はe-Gov法令検索に掲載された電気事業法・同法施行規則の条文と、電力・ガス取引監視等委員会などの公表資料にもとづく一般的な情報提供です。個別の契約の取り扱いは、契約中の小売電気事業者と管内の一般送配電事業者に直接ご確認ください。特定の事業者を推奨するものではなく、法律相談や個別の投資・税務助言は行いません。

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