普通充電の出力は電圧×電流で決まり、国の資料では現状3kWの充電器が大半、6kW(200V×30A)が認証基準の上限とされています。充電時間は、電池に足したい電力量を出力で割った値が目安です。
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3kWと6kWの出力は電圧×電流で決まる
経済産業省の充電インフラ整備に関する検討会の資料(2023年8月)は、普通充電器の第三者認証(JARI認証)の基準を次のように説明しています。
- 日本の充電口の規格では、定格電圧250V・定格電流32Aとされている。
- この規格に沿って、JARI認証基準では電圧200V×電流30A(=6kW)が基準として設けられている。
同じ検討会の指針(2023年10月)は、普通充電は現在3kWが大半で、6kWや今後は10kWの導入も含めて総出力を増強することが必要としています。JARIの認証基準の上限6kWは、見直しを進める方針が示されています。見直しの結果は本記事では確認できていません。
トヨタ自動車の資料は、3kWを「200V・16A」、6kWを「200V・30A」の組み合わせで示しています。200V×15Aなら計算上は3.0kWで、16Aでは3.2kWになるため、資料によって3kWの電流の書き方が異なります。出力は電圧と電流の積であり、「約3kW」「約6kW」は目安の呼び名と考えてください。
出典:経済産業省「充電インフラ整備促進に向けた指針(仮称)の案について」(2023年8月28日、普通充電の出力)、経済産業省「充電インフラ整備促進に向けた指針」(2023年10月)、トヨタ自動車「EV(電動車)の充電時間はどのくらい?」(2025年3月28日)
充電時間の計算方法
充電時間の目安は、次の式で考えます。
充電時間(時間)=電池に足したい電力量(kWh)÷充電出力(kW)
たとえば、電池に20kWh分を足す場合の単純な計算は次のとおりです。
| 充電出力 | 計算 | 時間の目安 |
|---|---|---|
| 3kW | 20kWh÷3kW | 約6.7時間 |
| 6kW | 20kWh÷6kW | 約3.3時間 |
この計算例は仮の数字による単純計算です。トヨタ自動車の資料は、実際の車両の充電電力は設備の前提と異なること、駆動用電池の温度や残量で時間が変わることを注記しています。次世代自動車振興センターの用語解説(2013年作成、最新の実態と合わない部分があるとの注記あり)は、200Vの普通充電を定格出力3kW程度、充電時間5〜7時間程度としています。
トヨタ自動車の資料は、同じ車種でも3kW(16A)と6kW(30A)で満充電までの時間が大きく変わる例を示しています。車種ごとの時間は各メーカーの公式ページで確認してください。
出典:トヨタ自動車「EV(電動車)の充電時間はどのくらい?」、次世代自動車振興センター「充電システムについて」(EV・PHV用語集)
3kW・4.8kW・6kWの位置づけと時間の早見表
出力は電圧×電流なので、200Vで電流が24Aなら計算上は4.8kWです。3kW(16A前後)と6kW(30A)の中間にあたる値で、車や充電設備の仕様によってはこの出力が示されることがあります。
ただし、本記事で確認した公開資料には、4.8kWを区分として示した記述は見つかっていません。4.8kWで充電できるかは、車の取扱説明書と設備の仕様で確認してください。
次の表は、電池に足す電力量ごとに「電力量÷出力」で出した計算例です。損失や温度による制御は含まず、実際の時間とは一致しません。
| 足す電力量 | 3kW | 4.8kW | 6kW |
|---|---|---|---|
| 20kWh | 約6.7時間 | 約4.2時間 | 約3.3時間 |
| 40kWh | 約13.3時間 | 約8.3時間 | 約6.7時間 |
| 60kWh | 約20.0時間 | 約12.5時間 | 約10.0時間 |
| 80kWh | 約26.7時間 | 約16.7時間 | 約13.3時間 |
足す電力量は、電池容量そのものではなく「今の残量から目標の残量まで」の差です。残量が少ない状態から満充電にする場合に近い列を選んでください。
200Vの回路には、遮断器(ブレーカー)の容量に応じた配線とコンセントが必要です。経済産業省・国土交通省のガイドブックは、単相200V・20Aの配線用遮断器の分岐回路を超える回路で充電する車については、内線規程(JEAC 8001-2016)を参照して適切なコンセントを選ぶよう注記しています。電流が大きい出力ほど、既存の配線のまま使えるとは限らないため、配線の確認が要ります。
出典:経済産業省・国土交通省「充電設備設置にあたってのガイドブック」(200Vコンセントの選定)
6kWにするには車と設備の両方が対応している必要がある
トヨタ自動車の資料は、普通充電ケーブルを用いた場合は約3kW(200V)の充電となり、約6kWで充電するには電流上限が30A以上の普通充電器(スタンド)が必要と注記しています。設備を6kWにしても、車の受け入れ上限が低ければ、その上限で充電されます。購入や設置の前に、車両の取扱説明書で対応する充電電流を確認してください。
出典:トヨタ自動車「EV(電動車)の充電時間はどのくらい?」
必要な回路の考え方
経済産業省・国土交通省のガイドブック(2017年6月改訂)は、内線規程(JEAC 8001-2016)の電気自動車等の充電設備の節が、電気自動車の最大負荷電流が10Aを超えることを前提に、配線を専用回路とすることを定めていると説明しています。一般回路による充電方法の仕様規定はないとされています。
同ガイドブックは、一般回路のコンセントで充電すると、容量不足でブレーカが作動し、同じ回路の他のコンセントや照明も停電するおそれがあると注意しています。接地極のないコンセントは、充電に使えないとされています。
200Vの回路の配線太さ・遮断器・契約容量への影響は、建物ごとに異なります。必要な工事内容は、電気工事の事業者と電力会社に確認してください。
出典:経済産業省・国土交通省「充電設備設置にあたってのガイドブック」(一般回路と専用回路)
補助金の申請では出力が3kWまたは6kWとして扱われる
次世代自動車振興センターの令和6年度補正・令和7年度の充電設備の補助金(申請の手引き、令和7年4月)では、基礎充電の選定で、総出力6kW以上10kW以下の普通充電設備などは総出力6kWとして扱われます。総出力6kW未満のものは、実際の充電時の総出力を考慮し、総出力3kWとして扱われると書かれています。
これは補助金の選定の事務上の扱いで、実際の充電出力を決めるものではありません。戸建て向けのコンセント補助は戸建て住宅充電用コンセント補助金、マンションや賃貸の手続きはマンション・賃貸住宅でEV充電設備を付けるときの手続きの順番で整理しています。
出典:次世代自動車振興センター「令和6年度補正・令和7年度 充電・充てんインフラ等導入促進補助金 申請の手引き 充電設備(第1期・第2期分)」(令和7年度補正の最新の手引きは未確認)
外出先の急速充電との料金の違い
自宅の普通充電と外出先の急速充電では、料金の決まり方が異なります。時間制・kWh課金・会員プランの違いはEVの外出先の急速充電と自宅の普通充電を比べるで整理しています。自宅で夜間に充電するときの時間帯別プランの確認項目はEV・V2Hで夜に充電する世帯の時間帯別プランの確認項目にまとめています。
V2L・V2Hとの関係
この記事は、車に充電する向きの普通充電の出力を扱っています。車の電気を家に給電する機器との違いはV2LとV2Hの違い、充電設備とV2Hの設備の違いはEV充電設備とV2Hの違い、V2H設置工事の補助対象はV2H設置工事の補助対象項目と上限額で確認できます。関連記事を状況別に読む順番はEV充電・V2H・V2L・蓄電池の記事の読む順番にまとめています。
よくある質問
QEVの普通充電で、3kWと6kWはどう違いますか?
A経済産業省の資料では、普通充電器の認証基準は200V×30A(6kW)が上限として設けられており、現状は3kWの充電器が大半とされています。同じ電力量を足す場合、出力が2倍の6kWは計算上、時間が半分になります。
Q充電器を6kWにすれば、必ず半分の時間で充電できますか?
Aいいえ。自動車メーカーの公開資料でも、6kWで充電するには電流上限が30A以上の充電器が必要で、実際の車両の充電電力は設備の出力と異なるとされています。車側の受け入れ上限と設備側の出力の小さいほうが目安になります。
Qこの記事の計算で、自宅の充電時間は正確に分かりますか?
A分かりません。本記事の計算例は出力と電力量だけの単純計算で、充電中の損失や温度による制御は含みません。実際の時間は車両の取扱説明書とメーカーの案内で確認してください。
本記事は一般的な情報提供です。充電時間・対応電流・必要な工事は、車両・充電設備・建物ごとに異なります。
特定の施工業者・製品を推奨するものではなく、電気工事の設計・実施、個別の投資・税務・法律の助言は行いません。実際の条件は車両の取扱説明書、メーカー、電気工事の事業者、電力会社の案内を優先してください。